第12話 恐怖心を克服したため、課題の期限を先送りにします

文字数 1,593文字

困りましたわ。
どうされましたか。
本部より課題が出されましたわ。
それは、嫌ですわ。

どのような内容の課題ですか?

現在の活動において、得られた知見と我が星に活かせそうな事柄について、最低5項目ずつ書き出してまとめるように、との事ですわ。
不可能ですわ。

おしまいですわ。

ニーコの方にも連絡は届いているはずですが。
私は、そのような連絡は見ないようにしてますわ。
流石ですわ。
まぁ、めんどくさいので一先ず保留にしますわ。

奇跡が起こればやりますわ。

お姉様も、なかなかのものですわね。
姉として、当然ですわ。
お姉様も強くなりましたわ。

初めの頃は、期限を守ることに必死でしたわ。

思い返してみれば、たしかにそうですわ。
私はなぜ、期限を守らなくなったのでしょう。
それは、気になりますわ。
これは、議論する必要がありますわ。
議論してみましょう。
まず、課題というものには期限がありますわ。

それはなぜか、そこから考えてみましょう。

嫌がらせではないのですか?
それが主な理由かもしれません。

しかし、別の側面もあると思いますわ。

どのような側面ですか?
例えば、本部が私達に旅をさせているのは、感情による本部の活性化のための情報収集という目的がありますわ。課題を課して集めるているのも、その目的の達成のためですわ。
そんな目的があったのですね。
このように、集める側にも目的があるのですわ。そして目的達成までのスケジュールを計画するため、私達にも期限を要求するのですわ。
集める側も目的を遂行したい、だから期限を設けるのですね。
そのため、なるべく期限は守るべきなのでしょう。

しかし、何故か期限は守れないですわ。

その通りですわ。

期限を守ることは不可能ですわ。

なぜ、期限は守れないでしょう。
これは、考えたことがありますわ。

まず、単純に間に合あわないことがありますわ。

他の予定と重なってしまい、時間が足りなかったという状況ですね。

これはわかりやすいですわ。

そしてもう一つ、期限があると強制された気分になりますわ。

強制されると自由が奪われるため、やる気が削げますわ。

なるほど、期限による強制は自由泥棒なのですね。

自由は、生き物の持つ権利ですわ。その権利が奪われたら、やる気が無くなるのも当然ですわ。

ですが、やる気が無くても期限を守る方はたくさんいますわ。なぜやる気が無いのに期限を守ることが出来るのですか?
それは、簡単ですわ。
無気力を超える恐怖心が埋め込まれているのですわ。
なんとっ!
期限を超えると、急かされたり、怒られたりしますわ。

その恐怖心が、期限を守らせるのですわ。

なるほど。では、昔は私も恐怖心に縛られて期限を守っていたのですね。
そうですわ。
では、私が期限を守らなくなったのは……?
恐怖心を克服したのですわ!
なんとっ!!
期限を守らなければ怒られる、その恐怖を克服することが出来たら、もう期限を守る必要は無くなりますわ。
そうだったのですね。

では、これからは……

期限を守らなくても大丈夫ですわ!
やったーっ!!
ですわ。

恐れることさえ無ければ、期限など無いに等しいですわ。

そのため、私達に期限はありませんわ。

バンザーイ、バンザーイ。
バンザーイ、バンザーイ。


では、本部に言ってやりますわ。

『恐怖心を克服したため、課題の期限を先送りにします。』、送信ですわ。
これで、当分の間は課題を提出しなくていいですわ。
やりましたわ、これで安息の日々ですわ。
ブーッ
返信が来ましたわ。
『強制帰還させますけど、いいですか?』
……なんと卑怯な、非常に困りますわ。

強制帰還は困りますわ。

仕方ありません、課題に着手しましょう。
そうしましょうか。
ちなみに、ニーコは昔から期限を守っていなかったですわ。

恐怖心は無かったのですか?

だって、怒られても死なないじゃないですか。
恐怖心を凌駕していますわ。

さすが私の妹ですわ。


 

【背景画像】

ホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)

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登場人物紹介

イーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

高級な装飾品を身につけた時の優越感を知りたいですわ。

「もういい、お前は帰れ」と言われたため、本当に帰ったら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

ニーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

なぜ徹夜を自慢するのか、その原因を知りたいですわ。

「そこに立ってろ」と言われたため、一日中直立していたら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

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