第40話 寂しい? 暖房をつけて布団にくるまってください。
文字数 1,595文字
『ずっと、ずっと寂しかったの……っ!!』
『大丈夫、もう離さないよ……』
感情の勉強をするため、恋愛ドラマを見てみましたわ。
なぜ、男の人が一人いないだけで、女性は寂しいと感じるのでしょう。
男なんて、その辺にいくらでもいるではないですか。
私達は、男という存在がいないにも関わらず、寂しいと感じたことがありませんものね。
ではまず、寂しいという感情がどのような物か、考えてみましょうか。
それは、難しい問題ですわね。
パッと答えが出てきませんわ。
確かに、難しいですわね。
では寂しいという感情は、どのような状況で起こるか考えてみましょう。
寂しいという感情は、よく人間が一人でいる時に使いますわ。
二人以上いる時に寂しいという言葉を使われていることは少ないですわ。
二人以上の場合、会話が可能ですわ。
一人では会話は出来ませんわ。
確かに、一人で会話は出来ませんわね。
これは、なかなか良い切り口かもしれませんわ。
では、更に掘り下げますわ。
会話にはどのような効果があるのでしょう。
意思の疎通ですわね。
会話をすることによって相手に自身の気持ちを伝えることが出来ますわ。
まだ掘り下げますわよ。
相手に自身の気持ちを伝えると、何が起こるのですか?
そうですわね……、自身と相手の距離が近くなる気がしますわ。
相手に自身の考えが伝わることによって、今まで遠かった相手が近くになった気がしますわ。
行ける所まで掘り下げますわ。
遠かった相手が近くになったことによって、何を感じるのですか?
はい、温もりですわ。『温もりを感じる』という言葉を聞いたことがありますわ。
これはきっと、寂しいという感情が温もりに変わるという意味だったのですね。
それは、少し不思議ですわね。
『寂しい』は感情を表す言葉ですわ。一方の『温もり』は温度の話ですわ。
これがイコールで結ばれるのは、少し疑問ですわ。
では、『寂しい』という感情を温度に変化すれば良いのではないですか?
『寂しい』は、『冷たさ』と同義というしましょう。
それなら、納得ですわ。『心に隙間風が吹く』なんて表現もありますわ。
きっと、心の温度が下がってしまっているのですわね。
では、これで寂しいの実態がわかりましたわね。
寂しさは心の温度。寂しくなることによって心の温度が低下するため、温もりを欲しくなる……
……別に、男なんていなくても、暖房をつけて布団に潜ればよくね?
そうじゃないですか。心の温度が下がっているなら、温めるだけですものね。
そんなの、暖房でも布団でも解決できますわ。
では、わざわざ男の人を用意する必要も無いということですね。
そうですわね、暖房と布団があればバッチリですわ。
きっとドラマの人は、外にいたから暖房も布団も無かったのですわね。
そうですわね。他に温める物が無かったため、近場の男に声をかけたのですね。
『寂しい? 暖房をつけて布団にくるまってください。』本部に送信ですわ。
では、これからは外で寂しくなってもいいように、携帯暖房と携帯おふとんが必要ですわね。
『甘いですよ、男の人の温もりは半端ではありません。燃えるような恋という言葉があるぐらいですし。』
本部の返信によると、男の人は暖房よりも温かいそうですわ。
【背景画像】
夜のホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)
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