第28話 あなたには居て欲しいです、でもそれは今ではありません

文字数 1,357文字

起きたら、なぜかお姉様がいませんでしたわ。
なぜいないのか、それはわかっていませんわ。
……暇ですわ。
…………。
…………。
お姉様がいないと、会話も出来ないのですね。
別に、寂しくはねぇですわ。
誰がなんと言おうと、寂しくはねぇですわ。
寂しくはねぇですわっ‼
…………。
…………。
……寂しく、ない、ですわ。
ニーコ……
お姉様っ‼
………幻覚でしたわ。
いえ、意外と探せばいるかもしれませんわ。
お姉様、本当はどこかに隠れているのでしょう。
正直に出ていただければ、私も許しますわよ。
さぁ、お姉様、どこですか。
……どこにもいませんわ。
もういっそ、寝てしまいましょう。
…………。
…………。
眠れませんわ。
目を閉じてから3分も経っていないですわ。
そうだ、ゲームでもしましょう。
これで、時間なんてあっという間に過ぎますわ。
…………。
つまんねーですわ。
お姉様、どこに行ったのでしょうか。
近所ならばいいのですが……。
まさか、一人で星に帰ってしまったとか。
いえ、そんなはずはありませんわ。
ありませんわよねっ‼
あったら怒りますわよっ‼
…………。
怒りますからね……。
ほら、お姉様、可愛い妹が逆立ちしてしまってますわよ~。
このままでは、頭に血が上ってしまいますわ。

さぁ大変ですわ、大変ですわよ。

大変ですわよっ‼
…………。
大変なのに……
ほら、お姉様。可愛い妹が天井に張り付いてしまいましたわ。
これは蝙蝠人間ですわ、びっくり人間ですわ。

こんな芸、珍しいですわよ。さぁ、拍手を。拍手を。

拍手をっ‼
…………。
……ぱちぱちぱちぱち。
……もう、私は諦めましたわ。

諦めて、ここに立ち尽くしますわ。

お姉様が戻ってこなかった場合、ここで屍となりますわ。

でも、仕方ありませんわ。それが姉妹ってものですわ。

待ちましょう。


待ちますわ。

 

……屍に、なってしまいましたわ。
本当に、遅いですわ。

遅すぎますわ。

まさか、本当に一人で星に戻ったのでしょうか。
そうしたら、この旅も破綻ですわね。

私一人では、調査もままなりませんわ。

かといって、調査を中止というわけにもいかないでしょう。

ですので、不完全なまま私一人で調査を進める、けれど本部への報告も不完全……。
……だったら、本部への報告もいりませんわね。

本部への報告無しで、この星の探索を満喫して……。

あながち、悪くないですわね!

これなら一人でも大丈夫そうですわ‼

帰ってきましたわ。
なんでやねん。
つっこまれましたわ。
遅くなって悪かったですわ。

でも、無事に帰ってきましたわ。

そうですか、無事に帰ってきてくれて安心ですわ。
『あなたには居て欲しいです、でもそれは今ではありません』送信ですわ。
本部への報告をしてくれたのですね、ありがとうですわ。
ちなみにですが、どのようなことを書いたのですか。
それは、お姉様には教えれませんわ。
それは、気になりますわね。

でも、無理強いはしませんわ。

そういえばお姉様。

お姉様は今日、どこへ行っていたのですか?

買い物に行っていましたわ。

しかい、道中で小銭を落としてしまいましたわ。

その小銭を拾っていたら……

隣町まで行っていましたわ。
どういうことですか。


 

【背景画像】

ホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)

夜のホテルの一室:ぽんこ様(illustAC様より)


【その他画像】

スマートフォンのイラスト(斜め):ツカッテ様

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登場人物紹介

イーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

高級な装飾品を身につけた時の優越感を知りたいですわ。

「もういい、お前は帰れ」と言われたため、本当に帰ったら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

ニーコと申しますわ。

感情を勉強中ですわ。

なぜ徹夜を自慢するのか、その原因を知りたいですわ。

「そこに立ってろ」と言われたため、一日中直立していたら怒られましたわ。

よろしくお願いしますわ。

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