その34 おねえさん

文字数 478文字

 ちょっぴり大人気分ということで、悠子さんがノンアルコールビールの缶を2人にくれた。悠子さんは本物のビールの缶を開ける。

「乾杯!」
 
 カキン、と3つの缶をぶつけ、一口飲んでみる。

(にが)・・・・」

「あ、初めてだった?でも、キンキンに冷やしてあるから喉ごしはいいでしょ?」

 言われて喉の奥までごくっ、と呑み込んでみる。

「あ、ほんとだ。何かこの刺激結構いいです」

「おー、将来有望だよ。こら!太郎!ぼさっとしないで、つまみを出せ!」

 こらか太郎かどっちかにしろよ、とぶつぶつ言いながら三田くんが、さきいかと柿ピーを出してきてくれた。

「悠子さんって大学生ですか?」

「うん。大学2年。一応20歳になってるからね」

 そう言って2本目の缶を開ける。

「皮肉なことに、昔そこにあって移転してった大学なんだよね。毎日府中まで通ってるよ」

「ずっとそこにあったら絶対遅刻しなかったですね」

「遅刻する奴は学校に泊まったって遅刻するよ」

「やかましい!ほら、もっとみつきちゃんをもてなさんか!」

 悠子さんが柿の種を三田くんに投げつける。三田くんはいやそうにポテトチップスの袋も開けてくれた。
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