その22 飛び込む少女

文字数 429文字

「わたしは、”飛び込んだ”、んです」

 彼女は箇条書きではなく、きちんと物語としてこれまでの人生を語ってくれた。
 ただし、わたしの研究者志向の性格から要約してしまう。

・小学校5年生のクラス替え時、女子全員から無視されるようになった。

・理由は多分、”生意気”、だから。

・半年経たずに耐えきれなくなった。

・夏休み最後の日、最寄りのJRのホームから電車に飛び込んだ。

・電車が各停でスピードが緩かったこと、先頭車両寄りの位置だったことから一命は取り留めた。

・ただし、左腕は肩から切断せざるを得なかった。右腕は残ったが、人差し指と中指は切断せざるを得なかった。

・最新技術を使った、”義指”、を作って貰った。

・腕以外は頭頂部に傷を負ったが、顔面は無傷だった。

 ・・・事実、彼女はオーダーの際もスマホで会計し、右手でシェイクを受け取り・・・と、全部1人でやった。
 両手を使わないとできない作業は右手と口を使ってこなすという。
 それでもできないことは、躊躇せず人に頼むという。

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