その38 天使と遊ぶ

文字数 598文字

 その日はポピーで雑談してから池袋に出て3人で遊んだ。
 
 まず、映画を観た。

 タイムリーな、というか、聴覚障害の女の子へのいじめをテーマとしたアニメだった。けれども、仕上がりはとても切なく美しい恋愛物語となっている。不覚にも泣いてしまった。
 ノネちゃんにとったらつらいかな、と思ったけれども主人公の少年と少女に感情移入したようで爽やかな涙を流していた。
 
 三田くんは泣いてないけれども・・・・

「目が潤んでるよ!」

 わたしがそう言うと、トイレ!、と言って逃げてしまった。


「ノネちゃん、他に行きたい所は?」

「ナンジャタウン!」

「あらあら、お子様だねー」

 といいつつ、高校生のわたしたちも思い切り楽しんだ。3人で力を合わせて新アトラクションを乗り切った。

 最後は餃子スタジアムではしごした。

 はーっ、とおどけてニンニクの香をまき散らすふりをするノネちゃん。

 かわいい。

「送ってかなくて平気?」

「大丈夫です。家の周りは賑やかで人通りも多いので」

「どこに住んでるの?」

「へへ、原宿です」

「嘘!?」

「ほんとです。ちょっと裏通りですけどね」

「すごい。やっぱりお嬢様だったんだ」

「先祖がそこに住んでたってだけです」

 バイバイ、とノネちゃんを見送った後、じゃあね、と三田くんとも別れる。姉貴今夜はいるから来る?って訊かれたけれども、今日はやめとく、と断った。そうそうご迷惑もかけられない。今度の楽しみにとっておく。
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