その4 巣鴨(ホームタウン)に戻る
文字数 822文字
神保町から三田線に乗って再び巣鴨に戻る。わたしが向かうのは、’純喫茶ポピー’。
駅のロータリーの交番のすぐ前、焼肉屋の入っているビルの地下に潜る店だ。
初めて入る時は正直躊躇した。そもそも、’純喫茶’という響きが、平成生まれのわたしにとっては猥雑なものに思えた。
けれども、それは杞憂だった。
明らかに10代と見て取れる、しかも、女子のわたしが地下への階段を下り、店内を覗き込むようにして半身でいると、白髪混じりの中年男性と眼が合った。
「いらっしゃい」
いらっしゃいませ、ではなくて、いらっしゃい、というのが却ってわたしの警戒心を解いた。以来、わたしは神保町の帰りポピーに通っている。因みに、その白髪混じりのマスターから、純喫茶というのは、コーヒー、特にブレンドをメインに楽しんでもらう、本来の意味での喫茶店だ、と教えて貰った。
土曜の夜は、わたしの家は夕食はみんなばらばらだ。いや。いつもばらばらなのだけれども、土曜日は必ずばらばらだ、という意味だ。だから、わたしは夕方近く巣鴨に戻ってからの閉店までの時間、ナポリタンとブレンドを頼んで、今日の収穫物である幾冊もの本をひも解き、ノートを取りながら、ブログの構想を練る。わたしにとって、ブログを書く作業が、将来の進路につながるはずの、ライフワークたる’いじめの研究’の全貌だ。
ポピーの小さめの茶色いテーブルに、タン、と青色フリクションを置いて、ぐっ、と背伸びのストレッチをすると、ああ、自分も大人になったなあ、っていう気分が盛り上がる。更に、作業に打ち込む。
そういえば、約束でした。
わたしが’いじめの研究’に打ち込む理由。
それは、まず一つはわたしが小学生の時に、いじめを受けたこと。その結果、うつ病になったこと。
それともう一つ。
わたしの父親は、わたしが中2の時、’過労で自殺’した。
でも、多分それは過労ではなく、職場のいじめが原因だったのでは、とわたしは今でも疑っているからだ。
駅のロータリーの交番のすぐ前、焼肉屋の入っているビルの地下に潜る店だ。
初めて入る時は正直躊躇した。そもそも、’純喫茶’という響きが、平成生まれのわたしにとっては猥雑なものに思えた。
けれども、それは杞憂だった。
明らかに10代と見て取れる、しかも、女子のわたしが地下への階段を下り、店内を覗き込むようにして半身でいると、白髪混じりの中年男性と眼が合った。
「いらっしゃい」
いらっしゃいませ、ではなくて、いらっしゃい、というのが却ってわたしの警戒心を解いた。以来、わたしは神保町の帰りポピーに通っている。因みに、その白髪混じりのマスターから、純喫茶というのは、コーヒー、特にブレンドをメインに楽しんでもらう、本来の意味での喫茶店だ、と教えて貰った。
土曜の夜は、わたしの家は夕食はみんなばらばらだ。いや。いつもばらばらなのだけれども、土曜日は必ずばらばらだ、という意味だ。だから、わたしは夕方近く巣鴨に戻ってからの閉店までの時間、ナポリタンとブレンドを頼んで、今日の収穫物である幾冊もの本をひも解き、ノートを取りながら、ブログの構想を練る。わたしにとって、ブログを書く作業が、将来の進路につながるはずの、ライフワークたる’いじめの研究’の全貌だ。
ポピーの小さめの茶色いテーブルに、タン、と青色フリクションを置いて、ぐっ、と背伸びのストレッチをすると、ああ、自分も大人になったなあ、っていう気分が盛り上がる。更に、作業に打ち込む。
そういえば、約束でした。
わたしが’いじめの研究’に打ち込む理由。
それは、まず一つはわたしが小学生の時に、いじめを受けたこと。その結果、うつ病になったこと。
それともう一つ。
わたしの父親は、わたしが中2の時、’過労で自殺’した。
でも、多分それは過労ではなく、職場のいじめが原因だったのでは、とわたしは今でも疑っているからだ。