その2

文字数 688文字

 わたしのブログにコメントを書いてくださる方もちらほらといる。

『自分の毎日はつらい日々です。なんだか、これがいつまで続くのだろうと、寂しくなることがあります』といった方。

『なんだか、学校行くのが嫌だな、って感じです』といった方。

『会社、とても嫌なんです』と、社会人の方もいらっしゃるようだ。わたしが絶望を感じたのは、社会に出てもいじめがあるんだ、ということだ。

 

 土曜日。わたしは地下鉄で神保町へ出かけた。わたしは巣鴨に住んでいるのだけれども、週一度、こうして三田線で神保町へ向かうこの時間が一番、心自由な瞬間だと思う。わたしが神保町で一番好きな本屋は東京堂書店。ここで内田百閒の文庫本を何冊も買った。夏目漱石の弟子だった百閒の書く随筆は、読んでいて思わず吹き出してしまうぐらい面白い。比喩ではなく、本当に吹きだすのだ。たとえば、こんな随筆があった。ビーフステーキを食べるのとシラスを食べるのとではどちらが罪が重いのか、という話。百鬼園先生は、シラスは数百匹の命を一気に喰らうのに対し、ステーキの場合はお尻のあたりをほんの少し切り取って喰らうだけなので、致命傷ではないはずだ、という屁理屈をつけておられる。朝、セーラー服を着て電車の中で笑いをこらえてむずむずした顔になっている女子高生のわたしが、内田百閒を読んでいると誰が思うだろうか。そう考えると余計におかしい。

 話がそれたけれども、週一度の神保町通いは、わたしが現実を生きるにあたって必要なことなのだ。そして、ブログのネタやアイディアは、神保町で得た様々な知識でもって成り立っている。

 それが、いじめの話だったとしても。

 
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