第27話 ユーカリの発信器
文字数 928文字
夜になり、今夜は天気がよく満天の星がまたたいている。流星群も見える。
コウジはシナモンに声をかけ、こっそり公民館屋上に連れ出した。
2人で並んで体育座りする。
コウジは『信号探索アプリ(ヘルツ君)』でシナモンの身体検査を始める。
器用なコウジは運営には内緒で、30以上もの多種多様な自作アプリを所持していた。
『信号妨害アプリ(ジャミング君)』『サイコメトリーアプリ(思い出君)』『テレポートアプリ(シュレ猫君)』『展開図アプリ(メルカトル君)』『非破壊検査アプリ(透視君)』……等々。
身を固くしてギュッと目を閉じて、震えるシナモン。
コウジはいつもとは違う小さい声で
「ごめん、シナモン、すぐ終わるから」
シナモンの髪に触れる。
シナモンは記憶をたどる。
そういえばユーカリからDMを受けた際、最後にユーカリが意識体で髪留めに触れていた。
シナモンはコウジに体を触れられ、緊張で涙ぐんでいた。
ケンカしながらも、シナモンとコウジはお互いの手をギュッと握り合っていた。