第25話 サンショウ、新バージョンになる

文字数 773文字

モカ先生、おはようございます。昨日の帰り、雨大丈夫でした?

おはよう。大丈夫よ。でも雷恐かったぁ! 

先生、雷苦手なの? (クスクス)

あ、コラ、バカにしたわね~

(呟くように)先生は可愛いな。

今度俺、送っていくから。

**************

また別の日、大きな段ボールを抱えて歩くモカ。

走ってくるなり、モカの段ボールをさり気なく引き上げて、無言で運ぶサンショウ。

あ、サンショウ君、ありがと。

こういうときは俺に声かけて。

私こう見えても力あるから大丈夫だよぉ。
俺、そんなに頼りなく見える? 
そんなことは無いけど。

モカ、細いじゃん。

これから力仕事は俺に任せること。それから俺をあんまり年下扱いしないこと。わかった?

……はい、わかりました。(照れ)

***************


2人のやり取りを影で見ていたユーカリ。

モカ、すごいじゃない。あの小生意気で憎たらしかったサンショウが……


だいぶあなたの趣味趣向を投影させて仕上げたわね。

あ、ユーカリ課長代理、お疲れ様です。

私頑張りました。自画自賛させてください。あの問題児をここまで育て上げて、充実感でいっぱいです。

毎日魂のぶつかり稽古で、サンショウ君のこと、もう他人とは思えない。

ここだけの話、疑似恋人? ……内緒ですよ!!(照れ)

(やれやれ、さっきからなに照れまくっているんだか)

それで危険思想も矯正できたの?

……その前に力尽きて……来週、来週こそは着手しますから!

知らないわよ~

ゲンマイ課長が気がつく前には着手しなさいよ。

どうやらモカは、サンショウの男尊女卑感を矯正するのに精魂尽き果てた様子。


サンショウは運営のリモート部品となるよう、洗脳される前に救出されたのだった。


女性は守らなくてはいけない存在とインプットされ、恥ずかしいセリフも平気で口にできる少女マンガテイストの男性として生まれ変わってはいたが……

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