第7話 第2期10話『立川セージと若手俳優内海ジンジャー』
文字数 1,017文字
シナモン達は、インナーバトルフィールドで立川セージを捉えた。
場所は薄皮を隔てた異次元の森林公園。私達は展望台から対象を補足。もう1人の男と一緒に広場にいるのが見えた。
その時ジンジャーはゆっくりと辺りを見渡した。薄笑いを浮かべ目を凝らして、遠くの私達を見つけようとしている。ジンジャーの存在は曖昧で捉えどころがない。存在自体が因果律の向こう側にいるようなたたずまい。
ジンジャーが私達に気がついたようだった。クスクス笑いながらセージに耳打ちしている。
シナモンを指さすジンジャー。遠目でも見て取れる悪意。
セージはシナモンに向けて右手を軽く挙げ、指をヒラヒラさせて笑った。
フラッシュバックするシナモン。
中学の卒業式の帰り道。初恋の相手から制服の第2ボタンをもらって、相思相愛であることがわかり、夢見心地で歩いていたとき、サラリーマンに声をかけられた。
「この近くにコンビニありますか? スマホの充電切れちゃって」
「あ、この道をまっすぐ行って大通りに出たら右」
サラリーマンはシナモンの首を後ろから羽交い締めにして、資材置き場に引きずり込み、そのまま押し倒した。あっという間の出来事だった。
恐怖で抵抗なんて、とてもじゃないけどできなかった。
サラリーマンが制服のスカートをまくり上げ、下着の中に手を入れてきたとき、秋田犬のエース君が通りかかって助かったのだ。
尋常でない吠え方をしたエース君、あのおじさんも無事だろうか。相手は上級州国民の孫だったもの、私を助けたせいで嫌な思いをしていなければいいのだけれど。
両思いになった初恋の相手とは自然消滅した。狭い田舎の下町だから、噂はすぐに広まった。