第14話 芋煮会でマジ話

文字数 1,298文字

 今夜は小川の側で芋煮会。


夜になると川のほとりで蛍の飛翔が見られる。

蛍は観賞用としてセレブの居住区域のみで養殖されていたため、シナモン達は蛍を見るのは初めてだった。

蛍、きれいだね。不思議だなぁ、虫が光るなんて。

外で食べると格別だな。芋煮なんて年寄りの食いもんだと思っていたけど、牛肉たっぷりで美味かった。

泥だらけになって掘った甲斐があったぜ、村長さんよ。

カルダモンちゃんにそう言ってもらえると、なんかすごく嬉しいな。
お腹いっぱい。お芋掘り楽しかった~

セイロンさんはなにかスキルを持っているんですか?

こんなに美味しいお野菜が作れるなんて。

スキルなんてないない。平凡な男ですから。
いえ、立派なスキルですよ。私にとっては魔法みたい。
ナツメグちゃんは野菜が好きなんだね。

うち、お父さんがお酒ばっかり飲んで貧乏だったから、お姉ちゃんと一緒に、食べられる植物を近くの山で探して茹でて食べていたんです。塩とかお醤油少しつけて。……それがあんまり美味しくなくて。

ここに来てから、お野菜ってこんなに美味しいんだって感動したんです。

ナツメグちゃん、大変だったね。ここに逃げてくるとき、家族には言ってきたの?

お姉ちゃんには言いました。両親には言っていません。

私の貯めた国債ポイント、勝手に換金してお酒を買っていたので、もう縁を切りました。母も父の言いなりなので。

えー、うちも同じだよ! 国債ポイントの残高一桁になっていたから両親に聞いたらね、タピオカ屋さんオープンするときに使っちゃったんだって、ひどいでしょ!

タピオカ屋? 冬越せた?

夏が終わったらすぐに潰れちゃったわ。一山当てて倍にして返すつもりだったとか言われてもね~

一応、家を出るとき両親には言ったの。国調省から逃げることにしたから私、行くねって。

『へえ、シナモン気をつけて、絆創膏と雨ガッパは持って行きなさい』って目をまん丸にしていた。

明るい両親ではあるんだけどね~

みんな、ひでー親だな。アタシの家の方がマシかも。

ウチは互いの親の連れ子と婆ちゃん合わせて13人の大家族でガチャガチャしているだけだから。

アタシも一応、親には言ったし、独り立ちするからってね。

うちはお母さんがキャバクラ経営していて、私は祖父母の家に預けられていたんだけど、『仕事でしばらく帰らない』って適当なこと言って出て来ちゃったな。

私は親に言っていない。

両親とも不倫していて家庭内別居状態だったの。2人とも外の家が本当の家族みたいよ。

別に私の心配なんてしていないと思うわ。

(クローブがうつむいたのを見て)

あ、そろそろ食後のスイーツが出来上がる頃だ。持ってくるね。

それ、なあに? ずいぶん不格好ね。
見た目は悪くてもね……一口食べてみてよ。先週運んでもらった石窯で作ったんだ。
あ、美味しい……! スイートポテト? 好みの味だわ。
おい、クローブばっかりずるいぞ。こっちにもくれよ。
お腹いっぱいだけど、私もちょこっとちょうだい?
私も少し食べたいな。
甘いものは別腹だよね!

もうっ、ゴマ君は美味しいものばっかり作るんだから。

太ったらゴマ君のせいだからね!

クローブが笑ったのを見て、ホッとするゴマであった。
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