第43話 あの日、卒業式の帰り道

文字数 1,006文字

シナモン、どうしたの? 顔色悪い。
昨日、記憶の上書きの話をしたじゃない? ……それで私思い出しちゃったの。あの時のこと。
……中学のときの話?
そう、立川セージのこと。
シナモン、話聞くよ。でも辛くなったらやめていいからね。
2人は川沿いに行き並んで座る。
私、記憶を改ざんしていた。おじさんとエース君が来たのは、もう少し後だった。
うん。
立川セージは私を押し倒したとき、こう言ったの。

子猫ちゃん、君は野良だからどんな病気を持っているかわからないからね、今日は入れてあげないよ。

期待していた? 残念でした。

俺の家においでよ。ちゃんときれいに洗浄したら入れてあげる。

終わったらアフターピル飲ませてあげるし。今は重婚ができるようになったけど、さすがに子猫ちゃんに赤ちゃんができたら困るから。

俺って優しいね?


ほら、優しいって言えよ。

子猫ちゃんのうち、貧乏なんでしょ? 見ればわかるよ。頭悪そうだもん。

さっきだって、もうちょっと、警戒、しなくちゃ。

子猫ちゃん、バージンだよね、そういう顔、してる、俺、バージン、っていうか、オリジナルに、ちょっと、こだわり、あってね、バージンの子、ばっかり、つまみ、食い、してる、子猫ちゃん、みたいな、天然の、子って、今まで、味見したこと、ない、からさ、俺に、食われなよッ……!!


ほら、口開けろ。

シナモン、もう思い出すのはやめて。

そしてエース君がおじさんを引っ張って来た。


「エース、どうした」

「おい、なにしてるそこで」

ふう…………うるさいな、警察呼びます? どうぞ?

それからアイツは全部金で解決したの、くやしい! 貧乏だからってバカにして!

そうだ、私達、貧乏が嫌で成り上がるために危ない現場飛び込んで、ぶっつけ本番でスキルを磨いていったよね。
そうよ、特待生ランキングで上位にいくために無茶ばっかりしてきた。
で、リスクと引き換えに貯めたポイントは、いつの間にか家族が無駄遣いしていた。
もう笑えてくる。ナツメグがいて、本当によかった。
疲れたときは2人で肉まん半分こにして食べたね。スペア入れ替えてもあの時の味と気持ちは忘れていない。
2人で抱き合い泣きじゃくるシナモンとナツメグ。
それでね、立川セージと内海ジンジャーにも何体ものスペアがあるはずだよね。
そうだね。もう再起動しているだろう。でも大丈夫、私達は確実に強くなっている。
仲間も増えたし、スキルも拡張しているしね。今夜、みんなでカンファレンスしよう!
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