第20話 一方その頃……チャイとアールグレイの内緒話

文字数 1,119文字

アールさんどうする~

監視対象Dランクのシナモンちゃんのこと。

ゲンマイ課長にどのタイミングで報告する~?

報告のタイミング逃しちゃったな。

でもまあ、妙な動きをすると、あのヤンキーの子、カルダモンだっけ? あの子の手下ども(アミーゴ)に勘づかれるし。

……なかなか厄介なスキルだよな。

ゲンマイ課長の指示でCランクのバジルちゃんの保護監視をしていたら、更にレアなDランクが向こうから来るなんてね~
棚ぼたっていうか、鴨ねぎっていうか。

それ、例えを並べるのってユーカリみたい。

……ユーカリの目は節穴だったね。エリア22の最下層にこんな原石がいるのかって驚いたよ。

あの子たちみんなバカで明るくて性格いいのに、スキルは性悪なんだよな~

ゲンマイ課長がバジルちゃんの廃棄を思いとどまったのは正解だよ。

『反射鏡(ブーメラン)』バジルちゃんを攻撃すると、その攻撃が敵にそっくり返るんだろ? 時間差で不意に返ったり、ジワジワ何代にも渡ったり、家族や恋人とか自分の弱点に反射したり……

使い途やアレンジ考えるだけで楽しいよ~

バジルちゃんが動画でクズ議員やクズ上級州国民を告発するぐらい大目に見なくちゃ。

ユーカリは体裁や細かいことを気にし過ぎ。大局を見ないからゲンマイ課長に詰められるんだよな~

ユーカリ、あんたの元カノだろ?

バジルがまだ生きていて、あんたと一緒にいるなんてバレたら面倒くさそう。

バジルちゃんを脳機能研究センター極北別館に収監してもよかったんだけどね。

ユーカリのネットワーク『白ヤギ黒ヤギ(DM)』でバレたとき面倒だからさ。で、こんなところまで来ちゃった。


ユーカリと別れるとき、大変だったな~(笑)

俺は今の生活悪くない。ここをチョイスして正解だった。

住民はお互い適度に無関心だし、視野が広がって感度良好、ストレス無く観測範囲がどこまでも拡張できる。

お気に入りのミリン君もいるしね。

境川近くの崖で、貝の化石を見つけたミリン。

アールグレイに見せようと持ってきた。


ミリンはまだアールグレイが運営の手先とは信じられないでいた。

別に……お気に入りとかじゃねえよ。

2人で夜更けまで、星見ながら語り合っているじゃないですか。

アールさんにそんな趣向があったなんて。楽しそうで羨ましい限りです。

……単なる暇つぶしだよ。

あれ? ミリン君?

え? あっ、えーと。

いつからいたの?

……お話しの邪魔をしてすみません。

これ、西の崖で見つけたんです。貝の化石。

この辺り海だったって考察したら、あの、楽しいかなって……暇つぶし……ですね。

これ、差し上げます。迷惑かもしれないけど。

…………

貝の化石をアールグレイに渡すと、走り去るチャイ。


後ろ姿を呆然と見送るアールグレイ。


バツの悪そうなチャイ。

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