第36話 白雪姫の継母は実母
文字数 1,628文字
公民館前に簡単にしつらえたテラスで、シナモン達がレモネードを飲んでおしゃべりしているところに、モカがやってきた。
ユーカリは二日酔いでまだベッドの中らしい。
SF(ソーシャル・フリクション)はそのままの意味よ。全方位から人間関係の軋轢が襲ってきて、ダイレクトに感じて病んでしまうの。
毒親(ナラタージュ)はね、母親のネガティブな語りが絶え間なく頭を渦巻くの。結果、自分で判断ができなくなり、意欲やエネルギーが漏電し成長を足止めさせてしまうっていう……
「あなたのためよ」とか、ぬかすんだろ?
アタシはオヤジの連れ子でさ、母親がコロコロ変わったんだけど、一人そういう女がいたんだ。真綿で首を絞めてくるタイプ。そいつが一番キライだった。
スロカスが母親だったときもあったんだけど、スロカスのほうがマシだったな。
スロカスってなに? ああ、スロットのこと、ギャンブル依存症ね。
(カルダモンちゃん、私はみんなより全然苦労していないって言っていたけど、ひどい家庭環境じゃない。私、家族のことでいじけるのは、もうやめよう……)
「だから言ったでしょう」「いつまでたってもダメなんだから」を言うとき、母親はイキイキしていたな。失敗したらクドクドエンドレスされるけど、上手くいっても気に入らないみたい。
自分が優位に立てる丁度いい失敗が、お好みみたい。
周囲をうかがうよう、キョロキョロして話すモカ。
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数分後、生まれたての子鹿のようにヨロヨロ立ち上げるモカ。
モカの背中に声をかけるナツメグ。
弱々しく微笑むモカ。
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