第46話 【第2部最終回付録】人物紹介まとめ②
文字数 1,929文字
姥捨て(ダンシャリ)
打ち切り(アンケート)
年功非序列(ロウガイタイジ)
害虫駆除(ニートホイホイ)等々
真面目故に重い。結局シナモン達に舐められる。いろんな局面で行き詰まりを感じると、つい飲んでしまう。酒癖悪い。
SF(ソーシャル・フリクション)
境界例(ラベリング)
臨床実験(ラッツ&モニター)
黄泉比良坂(ゾンビ)
少女マンガ大好き。その世界観をサンショウ君で体現してみたのに……
明るい見た目とは裏腹のマインドクラッシャー系スキルは毒親由来。自分を救うために必死で心理学を勉強してきた。
「ナツメグちゃん、母親との縁を切ってもらったご恩は一生忘れません」
間引き(ボーダー・マーダー)
パワハラで何度も部下からヘルプラインに通報されている。ただし家庭では優しい父親。
リモート勤務中、画面越しに部下を鬼詰めする姿を家族に目撃されてしまい、緊張が走った。
スキルは、とにかく間引きする人数が桁違いのパワープレイ。
チャイ
災害予想図(ハザードマップ)
ユーカリの元カレ。実は村長さんよりずっと年上、年齢不詳、百戦錬磨のエリート特殊工作員。
バジルの術の賞味期限はとうに過ぎているけど、ずっとかかったフリして行動を共にしている。理由は面白いから。
俯瞰(ウエザーレポート)
図らずとも特殊工作員となった身だが、出世欲は持ち合わせてはいない。
気象の流れ、オーロラ、電磁気の波を読み、俗世間から引いて心穏やかに過ごせればと思っていた。
ミリンと会うまでは。
箱庭地区甘草町で出生。古来より薬草を扱う民。
美しく賢い血筋だが、毒に汚染されているとして差別を受けてきた歴史は長い。
婚姻は結べず、危険な職業でもスペアを持てない。人権法が改正された州国でも、出生地をめぐる闇は姿を変え存在する。
薬や鎮静剤だけでなく、麻薬や毒も採取させられていた。採取のため樹海に赴き足をくじいて困っていたときに、グリズリー君と出会った。
熊さんだったけど、あんなに男の人から優しくされたのは初めてだった。
小さい頃から道具のように扱われてきたから。
事実婚と重婚が法律で認められた頃から、上級州国民が数名やってきて別荘を建て、私達を愛人として囲った。女の子だけじゃない、男の子も。逆らうことはできなかった。
私達が採取した純度の高い薬や毒は、上級州国民が搾取した。
熊さんはグリズリー君といった。グリズリー君は毒にまみれた私をお姫様のように扱った。
温かいスープをこしらえて果物を用意してくれた。暖かいお布団も。
私はグリズリー君が迷惑でなければ、ずっと一緒にいたいと思った。
2人でいろんな話をした。
一度ちょっとしたいさかいをしたことがある。
「私はもう汚れているから」と言ったら、グリズリー君は泣きながら怒った。
「サフランはきれいだよ! もうそんなことは言わないで」
ランプが揺らめく小屋、静かな夜、私は思わずグリズリー君に抱きつき泣いた。
グリズリー君
それでも今まで育ててくれた、研究所の博士や助手のみんなには感謝している。だってお別れのとき、みんな泣いてくれたから。
ある日、小さな女の子が樹海で足をくじいて困っていた。
よく助手のお兄さんたちが、
「甘草町の住民は男も女も美形だ、瞳が青みがかったり碧だったり銀色だったり、肌は透けるように白くて」
「あそこは上級州国民のハーレムだな」
と話していた。
「ハーレムってなあに?」
と聞いたけど、みんなは笑うだけで教えてはくれなかった。
助手のお姉さんが昔、童話を読んでくれた。サフランを初めて見たとき、童話の中のお姫様かと思った。
抱っこして小屋に連れて行き手当をしてあげると、頬を染めて「ありがとう」と言ってくれた。僕のことを怖がらなかった。
2人でいろんな話をした。
ある日サフランが、
「保健室の先生になってみたかったな」
と寂しそうに笑ったので、僕は一念発起。
博士や助手のみんなを頼って町に出て来た。みんな驚いていたけど、僕に協力して人肌脱いでくれたんだ。
そして紆余曲折の末、サフランの先生になる夢を叶えてあげることができた。
サフランが生徒達に接するとき、生徒が動揺しないよう平静を装っているんだけど、内心は心配でハラハラしているのを、僕は知っている。
「グリ君、どうしてこんなに優しくしてくれるの?」
ってサフランは聞く。
そんなのは当然だよ。だってモノクロだった世界が、サフランと出会った途端、カラーになってきらめいたんだ。世界が変わったんだから。