第8話 第2期11話『ユーカリからのDM』

文字数 1,050文字

……シナモン、聞こえる?  あなたの脳に直接ダイレクトメールを送っています。結論から言います。


シナモンは本日をもって、清掃員から工作員へ等級が上がりました。国債奨学金ポイントの加算も倍になります。


本来、上級特殊工作員への格上げでしたが、上級州国民の親族である立川セージ、及び国民的プロパガンダ俳優の内海ジンジャーの2名をブラックホールに廃棄した罪を差し引いた結果です。

もうその罪の責任は問われません。安心して。

これはセンター長の推薦です。センター長はあなたの能力の軍事転用を期待しています。

今後とも任務に励むように。これを拒む選択肢はあなたにはありません。


来月、▼■島で集合研修があります。研修資料を送りますので、準備しておくように。

研鑽を積んで、早く特殊工作員へ昇格しなさい。

特殊工作員になれば、国債ポイントとは別に州恩給が支給されます。

喜びなさい、あなたが一番上級州国民に近くなりましたよ。

 

……大番狂わせ、下克上、スポットライト、しっくりくる言葉が無いわ。私自身、正直驚いています。

シナモンが放った超小型ブラックホールは、立川セージと内海ジンジャーを包括したまま、現実世界の森林公園を広域にわたり掘削した。


攻撃とともに意識を失い、2時間後目を覚ましたシナモン。

みんな:……シナモン、大丈夫?
あ……、みんな、無事だった?

おまえ……フラフラしているくせに、人の心配している場合か? もう、無理して笑うなって言っているだろ。あんまり心配させるんじゃねえよ。

ほら、俺に掴まれ。

コウジ? どさくさに紛れてシナモンのこと触ってんじゃないわよ。

下心アリアリ。

下心なんてねえよ! うぬぼれんな、ブス。
ひっどーい! みんな、聞いた?

シナモンさんの潜在能力桁違いでした。敵は幾重にもセキュリティーで守られている相手だったのに。

感服しました。これからは”さん”付けで呼ばせてください。


ユーカリからのDM、傍受させてもらいました。破格の待遇じゃないですか……! 下層エリアから抜け出して一気に成り上がるチャンスですよ。

……俺たちのことは気にせず、今後のことはシナモンさんが選んでください。

え? 私の気持ちは変わらないよ? 犯罪者だらけの上級州国民なんかになってたまるもんですか。

研修とか絶対無理、どうせ居眠りして怒られるし。


ユーカリ、また課長に激詰めされるかもしれないけど、私、逃げる! 


それからミリン、”さん” 付けやめて!

うれしい、シナモン一緒に逃げよう。

よっしゃ! そうと決まったら、行くぞ、出発だ!


……どこへ?

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