第29話 ユーカリ&モカ上陸
文字数 1,397文字
リニアカーを降り立ち、日傘と大きなスーツケースを自動操縦しながら9番ゲートを渡ってきたユーカリ&モカ。
ちょうどその頃、みんなでお昼に流し素麺を食べていた。
急激にGがかかったかのように動けなくなるチャイとみんな。
ゆっくりと近づくユーカリ。
目の前を流れてゆく素麺……
サンショウはカルダモンの地道なリハビリの甲斐あって、すっかり元通り『女性の敵代表』に返り咲いていた。
あさっての方を向いてすっとぼけるカルダモン。
恐る恐るアールグレイが、ピリピリしているユーカリに声をかける。
もう仕事なんてどうでもいいの……
私今までゲンマイ課長に滅私奉公で尽くしてきたのに、マンデリンが育児休業から復帰した途端、課長はマンデリンばかり引き立てているのよ……時短で全部私に丸投げして帰って行く癖に。子どもが熱出して急に休むのは毎度のこと。仕方ないことだとはわかっているわよ。
でもね、今回の人事異動で私のプロジェクトをマンデリンに引き継がせて、私はモカと一緒に極北矯正収容所へ異動よ、どういうこと? だいたいあんた達が自分勝手に(愚痴の止まらないユーカリ。以下略)
(それから……オタク丸出しのダサいアイドルTシャツ着ているチャイを見たら、一気に醒めたわ。つき合っていたことも抹消したいくらいに。本当はアールグレイよりずっと年食っているクセに、アレは無いわよね……)
ユーカリとモカは3分後には、みんなの輪の中に入って一緒に素麺を食べていた。
ますます賑やかになった9番ゲート。
ユーカリ&モカ、社畜のバカンスの始まり。