エピソード1:っぽいオバケ
文字数 952文字
そんなこんなでわらいあった二人は、すこし休憩したのち、最後の箱を押して出てきた廊下を次に向けて歩き始めた。そして歩きだしてすぐにリラが口を開いた。
エリは首を傾げた。
エリは合点がいったようで何度か頭を上下した。
腕を組みながらリラは言う。
続けて何か言おうと瞬間、
リラは突然振り返った。彼女の急な行動にびっくりしつつ、エリも気になって振り返った。が、さっきふざけあった曲がり角が向こうのほうに見えるだけで特に変わったところはなかった。
エリは廊下をジッと見つめるリラに尋ねた。リラはそのまま答えた。
周りを見渡し人の気配がないことを確認してからエリは言った。
苦笑いをしてリラは言った。
それにエリがうなずき、ふたりは体をもとに戻した。すると、二人の進むべき先にただならぬモノが佇んでいた。
リラは驚き体を硬直させ、まん丸の目で見つめた。
それは細くなっているほうを下にした勾玉に真っ白な布を被せたような体で、ミトンのような丸い手を二本ぶきみに垂らし、目と口なのか二つの黒い穴とジグザグとした切れ目があった。しかし、その目らしき穴に光は宿っていない。どこまでもどこまでも深く落ちていきそうな闇だった。
リラは自分の見ているモノが信じられず呆然と立ち尽くす。
エリは無表情で自分とおなじ(と言っていいのだろうか?)モノを見ている。
オバケもその真っ暗の空虚な瞳で見つめかえす。
さらに三十秒ほど。いっこうに誰ひとりとして動く気配はない。妙な緊張感のある空気がみすぼらしい廊下を支配している。ところが、
突然オバケが丸っこい体をくるっと九十度左回転させて、ひゅーと移動しだした。そしてエリとおなじように壁のなかへ消えていった。