エピソード12:最後はやっぱりこれ
文字数 1,826文字
すると彼女たちの楽しさに満ちた笑顔の眉がたちまちひん曲がって、据わった目がジロリとオバケに向けられた。
二人の『空気を読んでよ』という強烈な空気を浴びせかけられ、オバケはおもわずたじろぐがそこはなんとか抗う。
リラは子どもに大人の事情という言葉を持ちだすオバケに呆れ笑う。エリも苦笑いを浮かべて、手に持っているフィギュアを元の位置にそっと戻した。そして話を進行できそうで一安心しているオバケにリラは言った。
高らかな宣言とともに数体のオバケが部屋のあちこちから躍り出ると、ふたりの前にあるものを置いた。それはリラにとっては毎日見飽きるほど目にしても飽きることのないもので、エリにとっては馴染みがないけれどもしかしたらいま一番欲しかったかもしれないもの、そしてないことに気がついていたけれどあえて触れなかったもの――最新のゲーム機だった。ゲーム機を運んできたオバケたちはそれからせっせとプラグをコンセントに挿したり、モニターとコードでつないだりしていつでもできるように準備をはじめた。
しかし用意が済んだところでリラが不満ありげに言った。まさかの反応にその場にいた全員が驚いて彼女を振り返った。エリにいたっては天地がひっくり返ったのかと思うぐらい驚愕し目をこれでもかと見開いて、楽しみに楽しみにしていた旅行が中止になる気配を感じ取ったときのようにドキドキしていた。
思いがけない事態に戸惑いつつもオバケは尋ねた。
のあとすこしタメて
と不安におびえる彼女に満面の笑みを見せた。
エリは首を振って答えて、それから聞いた。
リラがみんなに尋ねるとエリもオバケたちもそろって即座に頷き返す。それを見て彼女は苦笑いを浮かべる。成功したもののなんだかなという具合にリラのイタズラが終わり、オバケは進行に戻った。
リラは思い出したかのように大きな声を上げた。
その瞬間、部屋が薄暗くなり、スポットライトがパッと一人のオバケを照らし出した。光の幕の中で胸をこれでもかとはってドヤ顔をかましているのは彼女たちの目の前の――案内役のオバケだった。スポットライトは消え、部屋も元の明るさに戻った。しかしラスボスはまだ得意げなままで彼女らに言った。
思っていた以上の高評価にオバケは照れて頭をかいた。
三人は床に座って置いてあるコントローラを持ち、リラがホームボタンを押して電源を入れると、老若男女誰もが知っているといっても過言ではないロゴが映った。
リラはふと思って聞いた。
そう言ってリラはスティックを動かした。
そして
リラは元気よくボタンを押した。