エピソード2:うーん……
文字数 1,010文字
そして十秒ぐらい経ったところでリラが大きな声で言った。
それから
と二人同時に扉から離れた。そしてパンパンとパジャマの汚れをはたきおとしてからリラは言った。
大きいだけのハリボテのような廊下がなんだかおかしくてふたりはクスクスと笑いあったあと、話を続けた。
エリから再度の提案にリラは腕を組み考えはじめた。いちおう外にはなにもなさげなのを確認したとはいえ、よくよく考えてみればこの扉がそうであったように突然なにかが現れることもじゅうぶんありえる。そうなるとエリの言うように、なにかがあっても問題なくやり過ごせるであろう彼女に、扉の先を見てきてもらうのがより安全といえば安全ではある。しかし――――
そう言われて、リラは
と思い出した。
痛いところをつかれて困ったようにリラが言い訳をするが、そんな彼女をエリはただただ無言で見つめる。しかも「もう行くいがいに答えはないからね」と言わんばかりにちょっとずつちょっとずつ浮かび上がりながら。それだから上から見つめられる圧も加わってリラはついに折れた。
そのお願いにうれしそうに返事をして、エリはスーっと空中を滑るように扉の先へと向かった。リラは彼女の黒い髪と白い服が見えなくなるまで見送ったあと、静かにためいきをついた。そしてちょっとした音も聞き逃さないように耳をすませて待ちはじめた。が、集中力が持ったのはものの十秒ちょっとで、すぐに別のことに意識がいってしまった。とはいっても、主から離れてふわふわと漂っていった先はほかでもないエリのもとだった。