エピソード2:不思議な女の子

文字数 646文字

……あの
 すると女の子が、両手を体の前でもじもじさせながら、申し訳なさそうにさらに声を小さく細くして声をかけた。
あ……な、なに?
ごめんなさい。その……驚かせちゃって
いいよ、いいよ。ぜんぜん大丈夫!
 泣き出してしまいそうな女の子をなだめるために――事実急に声をかけられたことはまったく気にしていなかったので――満面の笑みの軽い調子で答えたあと、リラは女の子の垂れさがる両足を見て、ボサボサの髪の毛を見上げて、それから女の子の後ろを覗き込んで
大丈夫だけど……それどうなってるの? 言っちゃダメかもしれないけど、なんかオバケみたいというか
うん……そうだよ
え?
わたし、死んじゃってるから
 衝撃的な事実をあまりに簡単にまるでそれが自然なことのように告げられたので、リラは今度は耳を疑うはめになった。そのためその意味をかみ砕くのに少しばかり時間が必要だった。
それじゃ本物の幽霊ってこと?
いちおう
 宙に浮かんだままの女の子がそう答えると、リラは目をらんらんと輝かせた。
マジ!? ホンモノ!? スゴッ!
 予想外の反応に女の子ははためから見てもわかるぐらい大きく体をビクつかせて、
幽霊なのに、自分のほうがびっくりした……
 とドキドキしながら思った。
あ、ごめんごめん。大声出して。びっくりしちゃったよね?
いいよ。わたしもおどろかせちゃったから
 リラの笑って謝るその笑顔があまりにも楽しそうだったから、女の子もつられて楽しくなってちょっとだけ明るくなった声で言った。
ねえ、あなたの名前は? あたしはリラ
わたしはエリ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色