第31話 e-スポーツもグローバルに
文字数 1,100文字
残った8人のうち、4人までが外国からの招待選手だった。
プレイヤーとしては、こういう機会に交流を深めるものなのだろう。
だが、僕は英語がそれほど達者ではない。
ましてや、そのほかの外国語となれば、相手が交流を求めてきたときにどうすることもできない。
そこで驚いたのは、代わりに紫衣里が外国人選手の応対をしてくれたことだった。
たぶん、僕の彼女かと聞かれて、はっきりとは答えないで済ませたのだろう。
確かに「そうだ」と言われても照れ臭いが、言い切ってもらえないのも、何だか寂しい気がした。
もっと分からなかったのは、これまた微妙な感じの優男だった。
妙に馴れ馴れしい感じで、声をかけてきた。
ナンパっぽい響きの言葉だったが、紫衣里は何やら丁重に断ったらしい。
だが、相手は笑顔で食い下がってきたようだった。
そこで急に、紫衣里の顔が険しくなった。
背筋を伸ばして、きっぱりと言い放つ。
何と言ったのかはよく分からなかったが、優男は一瞬、怯んだ。
やがて、寂しげな笑みを浮かべると、一言だけ残して去っていった。
そうこうしているうちに、準々決勝が始まった。
僕は紫衣里を客席最前列に座らせて、巨大なスクリーンに<リタレスティック・バウト>のデモ画面が流れるステージへと駆け上がった。