第59話

文字数 812文字

外に出れば天気予報の通りすがすがしい秋晴れで深呼吸をすると気持ちが良かった。
外では保護者同士が立ち話をしていたりして、制服姿の私が自動販売機に向かえば、お金を持ってくること、買い食いなどは禁止とされている状態で、快く思わない保護者もいるんだろうということで少し離れた自動販売機に向かうことにした。
いつもと違う景色の場所を歩くだけで少しわくわくしてしまう、先生には感謝しないといけないのかもしれないと感じながら紅葉している木々を見ながら飲み物を飲みながら歩く。
午後は生徒たちの合唱の発表と聞いていた、帰りがけに会場を歩いていれば生徒たちがクラスごとに分かれて最後の調整をしている。
私には関係ないとそれを横目にそそくさと席に戻ることにした。

午後は1年生から学年ごとに順を追って発表の後に合唱部、吹奏楽部の演奏の発表、先生方の合唱の発表のスケジュールだった。

発表を見て思うところも感じるところも特に何もなく、同級生の発表になった時に、以前保健室で「寝てるだけで単位をもらえてずるい。」と言ってきた男子生徒が指揮者をしていて、その指揮がとても様になっているのを見て、
(この人にはこの人の努力の形があって、何もしていない、寝ているだけの私が怠惰に見えてずるをしているように見えるのは仕方のないことなんだなぁ。)
なんて感じたりもして少し申し訳のない気持ちになったり感情が少し揺さぶられた。
私の所属しているクラスの発表になり、曲と曲の間に担任の先生への感謝の言葉を指揮をしている男子生徒が言っていた。
そんなこともあり、学年ごとの発表での最優秀賞に選ばれたのは私の所属しているクラスだった、後々ほかのクラスの生徒からは「反則だ。」と大バッシングを受けることになるのだが、担任の先生は号泣していて満足気だったそうだ。
小言を言ってきた男子生徒はベスト指揮者賞というものに選ばれていて満足気だったようで、努力ができることはすごいなと素直に感じた。
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