第24話

文字数 1,040文字

体育館から飛び出た生徒たちは校舎の中は危険だということで校舎の端に二列に並べられた。
産まれてこの瞬間までに、こんなに大きな地震は経験がしたことがなかったし、地震の国だからと言ってこれから先に経験するのかもわからない。
地震の結果私の住んでいた地域は何も被害がなかった。
何も問題なしということで、その日に行われた何か問題があった際に使われるはずの地区の集団下校は一切機能せず、家族が迎えに来る人は家族と、迎えに来ない人は気を付けて帰るようにということで学校からそれぞれの方向性で下校することになった。
当然私の親、というか祖母は迎えに来るはずもなく、1人で下校することにした。
目の前をいつも私の陰口、というか悪口を教室で大きな声で言っている女の子が母親と一緒に歩いているのを見て、人生は不平等かもしれないなんて子供心に思った気がする。

帰宅して、家の中はいつも通りぐちゃぐちゃだ、変化なしだ。
曾祖母が亡くなってから家の中を片付ける人がいない、私はプレハブ小屋に引きこもりっぱなしで、家は祖母が1人と面倒を見られているのかいないのか、餌と水を与えられるだけの猫であふれている。
いつも通り汚かった。
一応と祖母の様子を見に行くと慌てている様子だった。
「東日本が壊滅だ、パパのいるいわきが今危ないし電話も通じない。」
ニュースの映像を見て 今の父の状況を考えると動悸がした、父の出稼ぎ先で津波が起きたという、原子力発電所も爆発したという。
原発が爆発するとどうなるかなんて当時の私にはわからなかったが、津波の被害は甚大だということだけはわかった。
父は浜の方にいると聞いていた、父に電話がつながらない理由は回線の混雑か、考えたくもないが最悪の事態が起こっているのか。
行動は冷静だったと思う、とりあえずこんな被害だ、食料を備蓄とまではいかなくても食べておかなければいけないと思った、いつも通りコンビニに向かうことにした。
コンビニに行くと当然のように何もなかった、いつもは棚いっぱいに置かれている、おにぎりもパンもカップ麺もお菓子も何もないのだ。
小学生が考えることだ、大人は当然のように食料を確保しに動いただろう。
余り物の食料を2,3個買って帰宅した。
家に帰ってニュースを見れば常に何処かが燃えていたり、電車が止まったと駅で固まっている人たちが居たり、そんな状態で父はどうなっているのだろうか 私はのんきにここにいるけど父は苦しんでいるのだろうか、頭はパニックだったのかその周辺の記憶はここで止まっている。
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