第37話

文字数 727文字

夕方、軽トラが駐車場に止まる音がした。
(…祖母?帰ってきたぁ?)
急いで起きた、何をされるかわかったもんじゃない、安心してなど寝ていられないのだ。
祖母が倉庫の中に入ったようで、物を漁る音が聞こえる。相当荒れているのか、雑なあさり方だ。
嫌な予感がしたから、パソコンをクローゼットの中に隠した、プレハブは2階にあるから階段をふさがれたら出れない、窓から出るしかないかななんて考えていれば、案の定階段を上がってくる音がする。
次の瞬間部屋に衝撃と振動が走った。
何が起きたのかと扉を見れば、ドアにつるはしが刺さっている。
(さすがにやっばぁい…!)
「おらぁ!出てこい、なめやがって!」
「ふっざけんな、馬鹿じゃねぇの?やっぱ頭いかれてるわ!なに帰ってきてんだよ!」
「うるせぇ!ここは私の家だ、お前が出てけ!!」
「うっざ!お前家のこと何にもしてねえだろ、働きもしない、家に居るだけ、息してるだけで、金食い虫なお前になんでそんなこと言われなきゃいけねぇんだよ!」
「うるせえ!」
その間にドアにはつるはしでできた穴がバカバカ開いている、鍵はかかっているが鍵の問題ではない、さすがに持たないだろう。
とにかくお金だ、ご飯が食べれなければ逃げるに逃げれない、財布をもって、窓を開け、2階ではあったがそんなことを気にしている余裕はない、飛び降りた。
飛び降りた瞬間足に衝撃が走ってとても痛かったが、つるはしなんかで刺される、もしくは殴られたらひとたまりもない。
着いた瞬間に走った、とにかく走った。ひきこもりにゼロ秒でスタートすることは体に相当負荷をかけている気がしたが、そんなことを気にしている余裕はなかった。
ひとまずと、全力で家から離れることに夢中でいつもショッピングモールまで走った。
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