第28話

文字数 883文字

中学校には1学期の終了3日前から通わなくなった。
父は入学祝いだとパソコンをプレゼントしてくれた、同時にお小遣い制度を導入してくれたのだ、1か月皆勤なら5千円、1日でも休んだら3千円のお小遣いを支給するというんだから、最初は張り切って通ったのだ。
中学生にとっての5千円は大金だったしなんでもできると思っていた。
「遅刻しても登校には変わりないよね?」
「そうだな、登校はしてる。」
「だよね、登校してるんだからきっかり払ってね。」
屁理屈を言って遅刻をするようになった。遅刻しても朝から登校してももらえるお金は同じなのだ、遅刻した方がいいに決まっている。遅刻することには微塵も罪悪感なんて感じなかったし、先生も我関せずといった感じで干渉されることもなかったから思う存分遅刻し放題だった。
そんな中でだんだんと疲れていったのだ、登校も遠くて面倒くさい、学校に行って陰口の的になるのも、相変わらず男の子の嫌味もある、給食費も相変わらずだ。勉強もやる気が起きない、家に帰って汚い家を見るのも嫌だ。そんな家で気を使って洗濯もお風呂にも入らなければいけない、祖母の期限が悪ければ叩かれる。
そんな中で割に合わないんじゃないかと考え始めた。
同級生はきっと本で読んだ通り、朝起きて、朝ご飯を提供されて、「行ってらっしゃい」と声をかけられているんだろう、学校ではそれなりに友達と仲良くしていて、給食費を気にすることなく食事をとる、帰ったら「おかえり。」と言われて、母か父か、祖母か祖父かに準備されたご飯を食べて、準備されたお風呂に入って寝るんだ。
考え出すと止まらなかった、憎かった。殴られもしない、恫喝もされない。なんで私だけこんな思いをしなければいけないんだ。
どうしようもなく同級生が憎たらしく感じた。総合的に、一言で言ってしまうと「面倒くさい。」

先生に直接言った。
「面倒くさいので、もう来ません。」
先生は何を言っているんだというような対応だった。相手にもしていないようだったからその日の下校時刻になるまで普通に学校で授業を受けた。
次の日から中学2年生の2学期まで学校に登校することはなかった。
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