第51話

文字数 913文字

(…鍵がかかってる。)
いつもならすんなり開くはずの職員玄関の鍵が閉まっている。
(生徒昇降口に行くしかないか…)
生徒昇降口の前には体育館があるのだが、体育館を見ればは授業とは思えない、人数も少ないし、専門的にスポーツをしているように見える。
(部活??)
生徒用昇降口に行ってドアを開けようとしたけど全て開かなかった、おかしい、月曜日なのになんで玄関は開かないし、見かける生徒全員がジャージでうろうろしているのか。
中体連は終わったはずだし、原因が全く分からなかった。
私はここで帰るわけにはいかなかった、何故なら久しぶりに来た学校、いつも嫌で嫌でしょうがない学校にわざわざリスクと労力を割いて来たのだ、ただで帰ってたまるかと学校の周りを一周した。
もちろんどこかの窓の鍵が開いている可能性にかけていた、2階を見ればほとんどの教室の窓は開いている、中に人が、生徒が居ることは明確だった。
1階の窓が開いて無ければよじ登って2階の窓から入ればいいのだ、単純だ。
そんなことを考えて歩きながら窓を1枚1枚少し触る程度に開けようと、いかにも歩いているだけの装いでいると、1枚だけ開く窓があった。
(ラッキー!)
1階でよかった、2階までよじ登って誰かに見られたら面倒くさかった。
早速周りに誰もいないことを確認して窓を飛び越えた。
久しぶりの校内、技術室だったのか独特の木のにおいがする。
さりげなく、さりげなく教室から出ないといけない、技術室の前は職員室だ。
まあ大丈夫だろうと思って教室を出ようとした。
「あれ?何してんの?」
「おはようございます。」
「あぁ、おはよ~。」
先生が入ってきた、いつも冷静そうな顔をしていると言われるが、こういうときは少しびっくりするわけで、顔に出ないだけだ。靴は後ろに隠していたから何てことはなかったようで安心した。
挨拶をすることで違和感をなくして入ることができた、ここまでくればこっちのもんだと、生徒用昇降口に向かい、外履きを閉まって、内履きに履き替えた。
授業をやっている空気を感じない、生徒全体が動いている感じがしたから便乗して私も動き回ることにした。私だけ制服だろうがなんだろうが皆が動いてしまえば気になることはないだろう。
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