第6話 廃校に幽霊が出た 最終章
文字数 955文字
M町の柿之木分校跡では、谷口ミエさんが亡くなった後、「幽霊話」は全く聞かれなくなった。
地域の観光開発の話もなかなか進展は無く、集落では静かな日常が続いている。
しかし、子供の声が聞こえなくなった集落に子供が帰ってくる予定は、今のところ全くなく、
将来は集落が消滅し まうことも予想されている。
「柿之木分校・廃校から5年」の記事は取材から1週間経った地方面に掲載された。
記事が載った日の朝、心が支局に来た。
「おはようございます。信子さん、柿之木の取材、お疲れ様でした」
「おはよう心くん」
「記事読みましたよ」
「どうだった?」
「幽霊話は初恋のお二人の話にグッときたし、過疎集落の現状もよくわかって、とても良かったです」
「そう!ありがとう」
浜田も奥から出てきた。
「心くん、おはよう。この間はありがとう」
「浜田さん、お世話になりました」
2泊3日の幽霊取材でお互いに個人的な話もしたことから、3人の絆はさらに強まったようだ。
しばらく話したあと、心が話を切り出した。
「ところで・・・浜田さん、あの話どうなりました?」
「えっ・・・あの話って?」
「浜田さん、会って話するって言ってたでしょう」
「ああ、その件ね・・・」
浜田は元妻と再度、話し合うことが出来た。
長女が双方に働きかけて実現したのだ。
「僕は自分の仕事に力を入れるあまり、家庭を顧みなかった、悪かったと心から詫びた。そしてこう言ったんだ。
『せっかく好きになって結婚した2人だったのに、その大事なものを私が壊してしまった。亡くなった息子も、中学生になった娘も、ましてや、妻だったあなたも、そのような状態を望んでいなかったはずだ。壊した私からお願いするのは何だが、もう1回、私にチャンスをもらえないだろうか』」
元妻の返事はその場ではもらえなかったが、浜田は道は開けるかもしれないと話した。
10歳で父親を亡くした心は、家族をもう1回取り戻そうと努力する浜田を見て、よいお父さんだと思った。
父親の死をきっかけに始まった心の不思議な力。
それなのに、一番聞きたい亡き父親の声は、何故かまだ聞くことができない。
最後に、もう一つ・・・信子と心が帰る途中で見た柿之木分校跡の教室の異様な光。
その夜は誰も教室を使っていなかった。
正体は分かっていない。
(第6話おわり)
地域の観光開発の話もなかなか進展は無く、集落では静かな日常が続いている。
しかし、子供の声が聞こえなくなった集落に子供が帰ってくる予定は、今のところ全くなく、
将来は集落が消滅し まうことも予想されている。
「柿之木分校・廃校から5年」の記事は取材から1週間経った地方面に掲載された。
記事が載った日の朝、心が支局に来た。
「おはようございます。信子さん、柿之木の取材、お疲れ様でした」
「おはよう心くん」
「記事読みましたよ」
「どうだった?」
「幽霊話は初恋のお二人の話にグッときたし、過疎集落の現状もよくわかって、とても良かったです」
「そう!ありがとう」
浜田も奥から出てきた。
「心くん、おはよう。この間はありがとう」
「浜田さん、お世話になりました」
2泊3日の幽霊取材でお互いに個人的な話もしたことから、3人の絆はさらに強まったようだ。
しばらく話したあと、心が話を切り出した。
「ところで・・・浜田さん、あの話どうなりました?」
「えっ・・・あの話って?」
「浜田さん、会って話するって言ってたでしょう」
「ああ、その件ね・・・」
浜田は元妻と再度、話し合うことが出来た。
長女が双方に働きかけて実現したのだ。
「僕は自分の仕事に力を入れるあまり、家庭を顧みなかった、悪かったと心から詫びた。そしてこう言ったんだ。
『せっかく好きになって結婚した2人だったのに、その大事なものを私が壊してしまった。亡くなった息子も、中学生になった娘も、ましてや、妻だったあなたも、そのような状態を望んでいなかったはずだ。壊した私からお願いするのは何だが、もう1回、私にチャンスをもらえないだろうか』」
元妻の返事はその場ではもらえなかったが、浜田は道は開けるかもしれないと話した。
10歳で父親を亡くした心は、家族をもう1回取り戻そうと努力する浜田を見て、よいお父さんだと思った。
父親の死をきっかけに始まった心の不思議な力。
それなのに、一番聞きたい亡き父親の声は、何故かまだ聞くことができない。
最後に、もう一つ・・・信子と心が帰る途中で見た柿之木分校跡の教室の異様な光。
その夜は誰も教室を使っていなかった。
正体は分かっていない。
(第6話おわり)