プッツン少女かよ - 1-1
文字数 1,141文字
ミリアはちゃかちゃかとスマホもどきをいじくり回し、再起動させようとしている。
人の形をした闇がこの世界に重々しく一歩を踏み出す。踏みしめた足に纏わり付いていた闇が周囲に四散する。身体から立ち昇る漆黒の闇は空気を浸食するかのように放たれ続けている。
そいつは激しく咳込む。
四つん這いでケホケホやっている人物は、膝丈程の濃いグレーの袖無しのローブみたいな物を着て、頭からすっぽりとフードを被っている。
なんだか映画に出て来るなんとかの騎士か、なにぽたの魔法使いが着ているような服だ。
魔力なんて言ってるしな。
そいつはローブのでかいポケットからガサゴソと何かを取り出すと口に当てた。
何やら変わった素材で奇妙な形をした、携帯用の酸素ボンベみたいにも見える物でスーハーしている。
小学生くらいの少女に見えるそいつは、スーハーしながらゆっくりと顔を上げた。
ピタっと固まる。俺と目が合ったのだ。目は真ん丸に見開かれている。