プッツン少女かよ - 1-1

文字数 1,141文字

割れた空間の内部に人影が見える。虹色逆光と緩やかに渦巻く暗黒物質のせいでその姿は(おぼろ)げだが、人間であろう事は確認出来る。
その人影はオーラのように全身に漆黒(まと)わり付かせ、口からも闇を吐き出しながらゆっくりとした重々しい足取りでこちらに向かって歩を進めてる。
れた空間の中に化け物じみた奴が居るんだが、こいつはいったいなんだ?

俺は先程の、この世の終わりか? 地獄の光景か? みたいな異常な出来事で精神力を使いたし、不思議とけっこう冷静にこの光景を眺めている。

隣のミリアが何とかしてくれそうなもするしな。
次元の壁が破壊されたって事は確実に言えるけど、さっきの強烈な時空振で分析器(アナライザー)がフリーズしちゃってそれ以上の事は何もからないわ。
ミリアはちゃかちゃかとスマホもどきをいじくり回し、再起動させようとしている。

人の形をしたがこの世界に重々しく一歩を踏み出す。踏みしめた足にわり付いていた闇が周囲に四散する。身体から立ち昇る漆黒の闇は空気を浸食するかのように放たれけている。


もう一歩踏み出した瞬間、そいつは突然両膝を折り両手を地面に着いた。
ぶははーっ、げほげほっ、げふげぼげはっ!
そいつはしく咳込む。
あううーーっ苦しいっ、げほっ。不完全燃焼した魔力の燃えカスを大量にい込んじゃったわっ。
げふっ、煙くて前が全然えないしっ、げほっ、ちょっと失敗っ、げほげほ、でも成功っ、けほっ、ちゃんと一人でっ、けふっ、次元の壁を突破できたわっ、ぶふっ、ササラってやっぱ天才っ! けほほほ

魔力とか言ってるけど。

   言ってるわね。
次元の壁を突破できたとも言ってるけど。
   言ってるわね。
こいつ一人が自力で次元の壁を突破して出て来たって事か?
   そうってるわね。とてもじられる事じゃないけど。

四つん這いでケホケホやっている人物は、膝丈程の濃いグレーの袖無しのローブみたいな物を着て、頭からすっぽりとフードを被っている。


なんだか映画に出て来るなんとかの騎士か、なにぽたの魔法使いが着ているような服だ。

魔力なんて言ってるしな。

そいつはローブのでかいポケットからガサゴソと何かを取り出すとに当てた。

何やら変わった素材で奇妙な形をした、携帯用の酸素ボンベみたいにも見える物でスーハーしている。

ああああー、生き返るっ! 只の酸素のくせして、なんて美味しいのっ! そうだっ! これに後でイチゴ味を付けてみようっと! きっともっと美味しい酸素になるよねっ、やっぱりササラって天才
イチゴ味の酸素ってどうかと思うが。

小学生くらいの少女に見えるそいつは、スーハーしながらゆっくりとを上げた。

ピタっとまる。俺と目がったのだ。は真ん丸に開かれている

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登場人物紹介

ミリアリア・タエコ・ルラララ

銀河連邦警察、地球駐在所勤務、警察官見習い。15歳。

日本人の母と宇宙人の父の間に生まれ、幼い頃に父の転勤で地球から外惑星に旅立つ。

ササラ・サラザリ・マーリン

大魔法使いアングリーズ・マーリンの最後の孫にして最後の弟子。

自称千年に一人の大天才魔法使い。異世界人。11歳。

罰野 場継(ばつの ばつ)』

自称オタクじゃない、一見平凡そうに見えるが、その実本当に平凡な一介の高校一年生。(なのか?)15歳。

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