プッツン少女かよ - 10-2
文字数 1,553文字
警察の機体なんだから、脱出装置は絶対に装備されているはずだ。
と言うか、警察の機体に自爆装置なんて物が設置されているものなんだろうか。
軍事用の機体ならば、敵に機体を鹵獲されるのを防ぐために自爆装置が設置されていてもおかしくは無いが、ミリアが乗っているのは警察の機体だ。
テログループに機体を奪われるという事態も無くはないと思うが、機体の詳しい仕様を知っている訳ではないのでこれは想像だが、その場合は車のキーみたいな認証装置を渡さないとか、機体のOSをロックさせるとかで対処出来そうな気もする。
まあ、それでも狡猾な犯人ならばそんなプロテクトなどは突破出来てしまうのかも知れないが、機体を自爆させるなんて事を警察が行うとは思えない。
だが、それは俺の考える地球の常識であって、宇宙では自爆が当たり前の行為であるのかも知れないが。
自爆装置が設置されていないとして、脱出装置が装備されているにもかかわらずそれを使用できない、又は使用しても脱出が間に合わない、そんな状況……。
多分、動力炉の暴走なんてそんなに簡単には起こらないように、何重にも制御装置や制御プログラムでプロテクトされているはずだ。
それを何らかの方法、例えば裏技とか回路を繋ぎ変えるとか壊すとか、そんなやり方で自爆させるのかも知れない。だから脱出が間に合わないとかなのかも知れない。
だがしかし、それほどまでしてササラを阻止する理由って何だ?
俺の身体の中に入っているとか言う強化装甲の為なのか?
SSS級の銀河広域指名手配犯とか言ってたが、絶対に回収しなけりゃならないのか? この地球で破壊されても、それはそれで構わないような気がするんだがな。
開発費やらなんやらで天文学的な費用がかかっていそうだからな。
地球の戦闘機を一機開発するだけでもすごく金がかかっているらしいし。最近じゃ大国以外は資金面で自国開発を断念して数か国で共同開発するのが当たり前だしな。
超貴重な鉱物とかエネルギー元を使っているという可能性もあるな。もう二度と同じ物を造れないとか。
それならば是が非でも回収したい気持ちも理解出来るが。
宇宙人から見れば未開の辺境惑星の原住民程度にしか思っていないだろうから。
もっとも、ミリアは半分地球人だからそんな風には思ってはいないとは思うが、上層部からの命令とかだったら従わないわけにはいかないだろうし。
そもそも銀河連邦警察は地球の警察じゃないんだから、地球人を守ってくれるのかどうかも疑わしい。
地球に来訪した宇宙犯罪者だけを取り締まっているのかも知れないし。
ミリアは銀河連邦警察の地球駐在所勤務だと言っていた。日本の警察と同じシステムだとすると、交番と違って駐在所は一人の警官が住み込みで勤務している場所だ。
ミリアには詳しく聞かなかったが、やはり一人で勤務しているのだろうか。
見習い警察官だから教育係の上司と一緒に勤務していると言う可能性も無くはないが、ミリアは一人で巨大戦艦を操っていたし、この事態でも応援が来ない所を見ると、やはり一人で勤務しているのだろう。
見習い警察官一人に地球を任せているって事は、宇宙人にとっては地球なんてそんなに守る価値が無いって事だ。
ミリアの能力が優秀で正規の警察官に匹敵、又は上回っているという可能性も充分に考えられるけれど。
生身での射撃は危なっかしかったが、それ以外の対処の仕方はAIのサポート付きではあるが、必要にして充分だと俺は感じた。
相手があんな超ラスボス級のバケモノじみた力を持ったササラじゃなかったら、とっくに犯人を確保出来ていた筈だ。
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