プッツン少女かよ - 7-2

文字数 1,595文字

ササラは首から下げていたレトロ調の大きめの(かぎ)に手をかけた。昭和時代にはよく見かけたらしい、鍵っ子風に首から下げていたあのだ。
今時の鍵っ子洒落(しゃれ)な小さなケースに家の鍵を入れて、ランドセルとかに付けているらしいがな。

ササラは首から下げていた紐から鍵部分だけを引っ張って取り外すと、それを首に()まっている厚くて黒くて太くてでっかい首輪に正面から突っ込む。

――。
羽より軽くて丈夫だとササラが言っていた、竜の鱗とミスリルその他を混ぜ合わせた魔法超合金で作られたとか言う首輪だ。
首輪に鍵穴なんてなかったはずだが、鍵が首輪に触れる瞬間に鍵穴が出来たように見えた。

その鍵をササラが一回回す。カシャーンとロックが外れるような音がした。

黒い首輪の表面にあった薄い長方形の突起が一つ横に開いて首輪の中から眩しい光が漏れ出す。

――。
ササラに絡みついていた金属のが少し外側に膨らんで網全体が光り出し、放電が多くなる。魔法陣は現れていない。
ミリア、ササラがなんかおかしな事をやり始めたようだが、大丈夫なのか?
『対魔法用のキャプチャーネットは魔力を電気エネルギーに変換して大気中に放出する構造になっているから大丈夫なはずよ。まだ負荷ゲージにも全然余裕があるから』
ササラは尚も鍵を回す。更に左右の突起がロックが外れる音と共に二つ同時に開く。少し膨らんでいた網が一気に膨張し、パンパンにらんだ。網の表面から放たれる光と放電が激しさを増す。
――――。
『まずいわね! 一気に負荷ゲージがレッドゾーンにまで到達しちゃったわ!』
ええっ、それってどういう……。
『これ以上の負荷がかかるとネットが持たない!』
更にササラの首輪の突起が二つ同時に開く。パンパンに膨らんでいた網が激しい閃光放電火花をまき散らしながら一瞬で弾け飛び燃え尽きる。
網が弾け飛んだ瞬間にミリアは装甲戦闘服でササラに掴みかかったが、ササラに装甲服の手が届く寸前、さらに首輪の突起が開かれて装甲服は厚い壁にぶつかったような鈍い激突音と共に空中に弾き飛ばされた。
――!
ミリアは弾き飛ばされながらも装甲戦闘服の背中側に回してあった機関砲ビームを両手で掴むと、ササラに向かって躊躇なく連射を放つ。
上を向いていた右肩のキャノンもササラに向かって咆哮を上げる。背中のバックパックからも小型のミサイルを連射する。
――――!!
全兵装の一斉攻撃だが、その猛攻は全てササラの目前でとなって消失する。魔法陣シールドの時のような爆発は一切起こらず、ミサイル実体弾ビームでさえも全ての攻撃が塵となって大気中に霧散して行く。
――。
ミリアが右手の機関砲をササラに向かって投げ付ける。もはや弾切れなのだろう。腰に装着されていた二つのドラムマガジンもササラを網で捕えた時点で既になくなっていた。
――!!!
投げ付けた機関砲もササラにぶつかる手前でと化す。バックパックからのミサイルと右肩のキャノン砲も弾切れで沈黙する。唯一残された左手のビームも連射で砲身が真っ赤に焼けて幾分出力が落ちて来たように見える。
ミリアお姉ちゃん無駄だよ。もうそんな攻撃はササラには通用しないよ。
この首輪はササラの巨大すぎる魔力制限するための物なんだよ。
この巨大な魔力を完全制御出来るようになるまでは魔力を解放するなってお爺ちゃんに言われているけれど、今日は首輪に付いている十三のロックを全部解除してササラの本当の力を見せてあげるよ。

大魔王も良く見ておくんだな、この千年に一人の大天才魔法使いササラの本当の力を。

このササラの力の解放が大魔王がこの世で見る最後景色となるんだからな。

ひええええーーっこえーよ。こえーよササラっ なんか別人みたいな顔になってるぞ! 可愛い小学生のササラに戻っておくれーーっ お願いしますーーっっ!!! ササラちゃーーんっっっ!!!!!!!

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登場人物紹介

ミリアリア・タエコ・ルラララ

銀河連邦警察、地球駐在所勤務、警察官見習い。15歳。

日本人の母と宇宙人の父の間に生まれ、幼い頃に父の転勤で地球から外惑星に旅立つ。

ササラ・サラザリ・マーリン

大魔法使いアングリーズ・マーリンの最後の孫にして最後の弟子。

自称千年に一人の大天才魔法使い。異世界人。11歳。

罰野 場継(ばつの ばつ)』

自称オタクじゃない、一見平凡そうに見えるが、その実本当に平凡な一介の高校一年生。(なのか?)15歳。

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