先端部が開かれた艦首には巨大な穴が出現した。直径は五メートルぐらいもありそうな大穴だ。大穴の内部から光が漏れ始め、徐々に輝きを増している。
そこから何かを発射するのか? プラズマトルネードとかって何だ? プラズマのトルネード、竜巻?
ちょっと安易なネーミングの気もするかな。お子様向け番組の分かり易いネーミングセンスに近いかも知れない。
ネーミングした人物のセンスが悪いのか、それとも誰にでもすぐに分かるような名前にしたのか、もしかすると宇宙語の名前を地球の言語に翻訳するとこうなるのか?
まあ、何が発射されるにせよ、仰々しく船体を変形までしたこの大口径の砲口だ。きっと物凄い何かが発射されるのだろう。ちょっと恐ろしくもあり、楽しみでもあるな。
[[ウインブレイバー、プラズマトルネード砲発射形態ニ移行完了。エネルギー充填120パーセント]]
120パーセント? 100パーセントじゃいかんのか?
なぜ20パーセント上乗せする? 過充填じゃないのか? 寿命が減ったりしない?
『通常攻撃停止! 目標ササラに向け、プラズマトルネード砲発射っ!』
ミリア、対ショック対閃光防御はっ? 必要無いのっ? 大丈夫なのっ?
プラズマトルネード砲が発射された瞬間、俺の周りの防御バリアがスッと暗くなる。ちょうど皆既日食を観察する時に使う減光フィルターのように暗くなった。
このバリアは外部からの強烈な光からも守ってくれるらしい。無敵のバリアと言われているだけあって優秀な奴だ。出世するぞっ、人間だったらな。
対閃光防御は必要無かった。もちろん先程の激しい砲撃の時と同様に振動などはまるで感じられず、対ショック防御も必要無かった。凄いな宇宙の超科学!
バリアは漆黒の闇のように真っ黒で外の景色は全く見えなくなったが、プラズマトルネード砲の眩しく輝く太い光の軌跡だけはハッキリと確認出来る。
あの巨大口径の砲口から発射されるのであれば、もっと広範囲に光が拡散されるのかと思っていたが、このバリアまでには光が届いていない。照射範囲を絞っているのかも知れないな。
出力が同じだとするならば、拡散せずに絞った方が一点に集中する威力は高くなるのかも知れない。
プラズマトルネード砲の照射が終わった。充填されたエネルギーを放出し尽したのだろう。バリアの減光フィルターが解除され、外部の景色が見えるようになった。