9.  アグニ・パルセネ

文字数 5,704文字

今回は、アグニ・パルセネの訳詞です。

まずは歌そのものを聞いていただきたく思います…。

https://www.youtube.com/watch?v=i-3h9TQ312c

さて、いかがでしたでしょうか?。中々に印象深い歌ですよね。

私には民謡の 大漁唄い込み を連想させますが。
「漕いで漕いで」「練って練って」の要領ですね。

訳はいつもながらの強意訳。
誰かに憑かれたのかの如くして、感情移入がやたらとひどい。
テキストからの縛りは完全無視。ルール違反もはなはだしい…。

*ご注意くださいまっせー。



      Re: Agni Parthene (O Virgin Pure)





O pure and virgin Lady, O spotless Theotokos:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、(肉による)交わりを知らぬままの純潔なる乙女、聖女マリアよ!
  おお、その無垢なるのままで、あなたはご胎内に、神の子を結び給ひしける。

  我らは、歓喜が故の、雄叫びを、貴方に向けて、(ささ)げ、(おく)り、(たてまつ)らん。 
  おお、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方よー!

  *Theotokos(セオトコス): 
   イエスの母たるマリアのコード・ネーム。ギリシャ語の単語、2つの合成。
   Θεός "神" + τόκος "出産、出産、子孫”


O Virgin Queen and Mother, O dewy fleece most sacred:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、無垢(むく)の女王、その清らかなる身のままに、母となりける方!
  おお、神よりの慈悲(じひ)を、あなたはその身でもって()んだ(dewy fleece)
  あなたは、ヒトにおいての、最も(とうと)き方となった!

  我らは、歓喜が元に、雄叫びを、貴方に向けて、捧げ、贈り、奉らん。 
  おお、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方よー!

  *(つゆ)を帯びた羊毛。神の慈悲を帯びたマリアと解釈。
   士師記6-36からの引用みたい。

O height transcending heaven above, O beam of light most radiant:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、上空の遥か高み、天界に属する身となられた方よ。
  おお、崇高(すうこう)にして至上なる天の輝き、そを身に(まと)われたる方。

  我らは、歓喜の叫びを、貴方に向けて、あげて、贈りてで、奉らん。 
  おお、婚儀なく(神の)花嫁となられた方よー!

O joy of chaste and virgin maids, surpassing all the angels:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、貞節よく保ちたるの乙女。
  品性深く尊びて、神に仕えるに従順純朴(じゅうじゅんじゅんぼく)たることの喜びを知りたるのお方。
  天使たちすべての中においてでさえ、尚も、あなたは秀でた存在であることだろう

  我らは、崇敬の念もて、歓喜の叫びを、貴方に向けて、あげて、贈り、奉らん。 
  嗚呼、婚儀なく(神の)花嫁となられた方よー!

O brilliant light of heaven above, most clear and most radiant:
Rejoice, O unwedded Bride!

  嗚呼、遥かなる天の高みにて、燦然(さんぜん)と光り輝くそのお姿!。
  なんと清く澄んだ光を、あなたは、放たれておられることか!。

  我らは、崇拝の念もて、感嘆の思いを、貴方に向けて、あげて、贈り、奉らん。 
  おお、婚儀なく(神の)花嫁となられた方よー!

Commanding chief of heavenly hosts, O holiest of holies:
Rejoice, O unwedded Bride!

  天軍(てんぐん)の総司令、ジーザス・クライスト!
  おお、天において並ぶべきもののなき、至高、最善、最も尊き御ん君!

  かの方を、生んでくださったことに、込みあげきたる、この感謝の思いを、
  我らは、貴方に向けて、述べて、伝えて、語りてを、奉らん。 
  嗚呼、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方、聖マリアよー!

O ever-virgin Mary, O Mistress of creation:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、永遠に無垢なるがままの乙女マリア!
  嗚呼、つくられたものの内で、最も優れたるヒトなりけるの乙女!

  我らは、崇敬の、敬愛の念もて、貴方を拝み、愛して、挙げてを、奉らん。 
  嗚呼、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方よー!

O Bride all-pure and spotless, O Lady all-holy:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、花嫁は無垢(むく)なるがままにして(けが)れの一切なかりければ、
  そのすべてが…聖なるものの、まさしく(かがみ)そのものではないか!。
  嗚呼、レディー・マリアー!。

  我ら、歓喜の念もて、貴方を、敬い尊び、愛して挙げてをして仕らん。 
  おお、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方よ!

O holy Mary, Bride and Queen, and cause of our rejoicing:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、聖なる女、マリア殿!
  神の花嫁にして、女王となられたるの、至上の御君(おんきみ)
  そして、あなたは、我らにとっての、尽きせぬ喜び、その源泉ともなられたのです。

  歓喜、歓喜、歓喜…。ただこの念もて、この思いのみにて、
  貴方を愛し、(うやま)ひて、(とうと)びてしてを(たてまつ)らん。 
  嗚呼、婚儀なくして(神の)花嫁となられた方!

O Maiden Queen most hon'rable, O Mother most holy:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、無垢なりて、女王となるべく、神に選ばれたるの乙女。
  至高の栄誉たるを、ヒトでありながら、賜われり。
  嗚呼、最も神聖なる母上さまよ。

  我ら、歓喜の上に、歓喜の思ひを重ねして、
  ことの成就がゆえの(よろこ)びを、声に上げてで、お伝へしましょうぞ。
  嗚呼、人界の理としての婚儀、
  (これ)()ることなくして、(神の)花嫁となられたるの方よ!

More precious than the cherubim, more glorious than the seraphim:
Rejoice, O unwedded Bride!

  (まさ)に、ケルビム(智天使)よりもかけがえなくして
  (しん)に、セラフィム(熾天使)よりも輝かしきかな

  叫べ!、喜べ!、こころの、魂の奥底、精神の(ずい)から。
  命自(いのちみずか)らの、そのままの願いもて。
  おお、婚儀は不要となりけるの、天の花嫁殿に向けて!

Surpassing principalities, dominions, thrones and powers:
Rejoice, O unwedded Bride!

  貴方様(あなたさま)に備わった、その権能、その主権、その王権、
  王たるものが着座すべきの、その玉座(ぎょくざ)にて、発揮される、その力
  これらのすべてが従来からの常識を、ヒトが想像することの叶う域を、
  遥かに超えて、凌いでいる。

  驚嘆し、喜びて、その賛美の声を、天へとあげよ!
  おお、婚儀を不要とせる花嫁様、聖なるマリアに向けて!

Rejoice, song of the cherubim, rejoice, hymn of the angels:
Rejoice, O unwedded Bride!

  (はる)か天上より、なにか歌のようなものが聞こへてくる…
  聞こへくるは、ケルビムらによる歌…、なんたる喜びかな…
  聞こへてくるのは、天使らが歌う、あなた様への、賛美の歌声…、なんたる至福…

  この込み上げきたる喜びもて、我も同じく唱和せん。
  おお、婚儀なきままに、花嫁となられた方さまへ、祝辞の思ひもて!

Rejoice, ode of the seraphim, and joy of the archangels:
Rejoice, O unwedded Bride!

  聞きて、共に、(よろこ)ぼうぞ。
  セラフィムらによる彼女に向けての頌歌たるを。
  大天使らによる喜びの讃歌を。

  嗚呼、すべてのヒトにとって、喜びの源泉となられ賜ひし、婚儀なき花嫁さま!

Rejoice, o peace;
Rejoice, o joy, and haven of salvation:
Rejoice, O unwedded Bride!

  喜びて、こころに湧き起こりきたる、この思い…
  おお、平安たるものの到来ではないかー。

  そして、嗚呼、なんたる喜びであることか…。
  救済としての、この天国たるものの到来は…。

  歓喜の思いを貴方に向けて捧げ奉らん。
  婚儀なき花嫁、貴方さまへと。

O bridal chamber of the Word, unfading, fragrant blossom:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、御言葉(みことば)の通りに結合の果たされし、初夜の閨房(けいぼう)
  開花した花より放たれる芳香(ほうこう)。その香りは決して薄らぐことはない。
  そのまま、永遠に、永劫に至らんとも…。

  預言の成就(じょうじゅ)、適ったことへの感謝。この思いを祈りにして(ささ)(たてまつ)ります。
  ヒトへと、嫁ぐにはならなかった花嫁さま、聖マリア殿に向けて!

Rejoice, delight of paradise, rejoice, life everlasting:
Rejoice, O unwedded Bride!

  至福なるかな、天国に至りしことの、その喜びたるや!。
  幸いなるかな、天上の喜びこそは、永遠に終わりなき命を贈与されることこそが!。
  歓喜せよ、おお、ヒトによらずして、婚儀を果たしたるの花嫁さまに!。

Rejoice, o holy tree of life, and fount of immortality:
Rejoice, O unwedded Bride!

  祝賀の声をあげよ。こころよりの賛美を唱え。
  おお、聖なる命の木
  そして尽きることなく溢れ出づる不死不滅(ふしふめつ)、慈悲の源泉たるる方。

  喜びて、我らは叫ばん、
  嗚呼、婚儀なく、神の花嫁となられた方様よ!

I supplicate thee, Lady, I humbly call upon thee:
Rejoice, unwedded Bride!

  私は貴方に祈り、依り頼むのです。
  レディ・マリア!
  身を屈めに屈めて、腰を低くに低くして、
  私は、あなたに届けよとばかりに、呼びかけるのです。

  私に、喜びを、希望を与えてくださった、貴方様に…。
  未婚の神の花嫁よっ!。

O Queen of all, I beg thee, to grant me thy favor:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、女王の中の女王。
  私は貴方に乞い願います。
  貴方のご慈悲が、私に許され、至り、賜れんことを。

  歓喜、歓喜、ただ歓喜のみが、我が内を駆け巡る。
  嗚呼、婚儀不要となりたるの、神の花嫁よ!

O spotless and most honored maid, O Lady all holy:
Rejoice, O unwedded Bride!

  おお、一切の(けが)れなくして、更に、至上の栄誉をその身に受けしヒト。
  嗚呼、レディ・マリア、貴方は、完全なる聖者となられ賜ふた。

  歓喜、歓喜、ただ歓喜。
  この思いのみもて、貴方を(たた)えん。
  おお、婚儀の用なかりけるの、神の花嫁よ!

I call upon thee fervently, thou temple most holy:
Rejoice, O unwedded Bride!

  この(たか)まる思ひ、この血潮(ちしお)(たぎ)り、その命じるままに、私は貴方に呼び掛けましょうぞ。
  貴方は、我らにとって、最も神聖なる神殿となられたのですから。

  歓喜、歓喜、ただ歓喜。この思いもて貴方をば讃えん。
  おお、婚儀なきける、神の花嫁よ!

O thou my help, deliver me, from harm and all adversity:
Rejoice, O unwedded Bride!

  嗚呼、我の、助け人たらん方よ。
  どうか、私を悪しき(わな)より救いだしたまえ。
  悪が、我に及ぼそうとする、そのいざないから。
  そして、すべての逆境(ぎゃっきょう)より。

  歓喜、感謝、感激。
  その思いもて、貴方への讃えを、送り奉らん。
  おお、婚儀なきけるの、神の花嫁よー!

And by thy prayers show me to be, an heir of immortality:
Rejoice, O unwedded Bride!

  そして、終わること、絶えること、途絶えることの一切ない、
  貴方さまがなされる、その祈り…。

  その連禱を知るが故に、私には、貴方様が、間違いなく不死たるを、
  相続された方たることが確信されている…。

  歓喜、感謝、敬愛、崇敬、尊敬…
  これらの思いの限りもて、我らは、貴方を讃え、信じて、お(たよ)りします!。
  嗚呼、婚儀なきけるの、神の花嫁となられたるの方さまよ!。




   〈了〉






作詞をされたネクタリオス神父

、マリヤ様、ご本人が、彼の前に現れ、
これから天使の詠隊が歌う歌を、紙に記すよう頼んだそうな。
その聖歌がこの『アグニ・パルセネ』なんだってー。


『 ちと(ちご)うとるような…』




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