3.  変えてみせましょう!

文字数 5,647文字

あるとき、おさびし山の

は次のように(のたま)いされたそうな…。

 『森の賢者、スナ〜よっ!
 『ムミンの色ホば、(クロ)〜に変えて見せひ!!
 『()もなくば、モランやらスティンキーやらなんぞやらを谷に放つぞー!






〈暗転〉



スナフ: こないだ部屋ん中でチーズビット食べていたのさ…
ムミン: 「ふ〜ん…」
スナフ: もう終わりかけのほうだったんだ…。
     ふと庭を見ると、スズメたちが沢山来てて熱心に地面を啄んでたのさっ。
     そうだこれ残りあげようと思ってサッシを開けた。
ムミン: 「…」
スナフ: そしたら開ける音に驚いて、みんな一斉に、飛んで、逃げた…。
ムミン: 「………」






スナフ: こないだの朝、ぬこが見当たらなかったんだ…。
ムミン:「ふ〜ん…」
スナフ: どこ探してもいないんだ…。
     どっかに閉じ込めれているんじゃないかと思ってすっごく心配した。
     それで、もしからしたらと思ってノンの部屋の扉をソ〜ト開けて覗いてみたんだ。
     そしたらノンは彼氏と一緒に寝てて、物音で、彼氏は目を覚ましてしまう…。
     その後、暫くは、ノンからは怒りの眼差しが

送られてきて
     まとわりついて離れない羽目になった…。(高校ちゃんと行っとるんかな〜?)
ムミン:「じゃあ結局、ぬこはいなくなっちゃたの?」
スナフ: いいや、僕のまったく知らなかった所でスヤスヤ寝てたよ…。
ムミン:「………」






スナフ: 僕は一年の内の4分の3しかここにはいないだろう?
ムミン:「そだね…」
スナフ: 戻ってくる度に、みんな段々と印象が変わってしまっていることに気づくのさ…
     特にご年配のご婦人方がさ…
     僕はいまじゃあバーバママ・シリーズって密かに呼んでる…。
ムミン:「………」






スナフ:だいぶ前の話になるな…
    夜勤明けに

返すの忘れて家に帰ってしまったことがあるんだ…。
ムミン:「ふ〜ん…」
スナフ: 一日休みおいて出勤するときにそれがポケットに入っているのに気が付いた…。
     そんで職場に顔だしたら、リーダー、鬼のような形相ですっ飛んで来んのさ…。
    『おまえ鍵知らないか?!!!』ってすっごい剣幕で捲し立てて来たのさ…。
ムミン:「………」
スナフ: あの夜は彼とペアだった。それも突発的にね…。
     彼は

夜勤をよるよう命じられてしまってた。
     夜勤の間中、彼は、その非情なる命令を下した管理者の名前を連呼しならがら
     ソファーを度々殴ってた…。
     だもんで、僕は「ここにあります」って言い出しづらかったんだ…。
ムミン: 「それで鍵はどうしたの?」
スナフ: 時を見計らって、

のおじさんの部屋へと僕は行った。
     それで、彼の手に鍵をしっかりと握らせて、急ぎ踵をかえてして部屋を後にした。
ムミン:「…」
スナフ: 彼は、昼夜を問わず、あちこちうろついているからね…。
     あの夜も、僕たちの待機している部屋に深夜顔を出しにきてた。
     これで…話は…おしまいさ…。
ムミン:「………」






スナフ: 外回りの仕事終わりで地下鉄に乗ってたんだ…。座席で僕は座ってた…。
     すると酔っ払いなのか、なんなのか知らないが、えらく(たち)の悪いのが
     目の前に立ったんだ…。次の駅は丁度、勝手知ったる江坂だ。
     そこで僕には一計が閃いてしまってた。そして、


     二度と巡ってこないぞなどと思ってしまう…。
ムミン:「…」
スナフ: 僕は中々に威勢のいい啖呵をそいつに切ってたと思うよ。
     ついぞ使った事のない罵詈雑言だ…。
     もう無かったことには絶対にできない。とにかく暴力沙汰になることのを
     回避するのはもう難しいと思えるほどのものをだ…。
ムミン:「……」
スナフ: 隣に座っていたおばさんがその後の展開を想像して『

』って
     悲鳴を上げるが如くにして僕を制して下さっていた。
     なんせ僕はご覧の通り、小柄で大人しそうで、とても荒事に縁のある人間には
     見えなかっただろうからな…。
    「大丈夫ですよマダム…」と僕は落ち着いた様子で彼女の心配を取り除いてあげる。
     そして「次の駅でおまえおりんかい」と荒々しく言い放ち、そして立ち上がる…。
     丁度その時は、扉が開くタイミングだった。男は怒り狂ってたね。
     僕を逃さんとばかりにぴったり後にくっついてホームへと降りた。
     そして二人は改札のある下へと並んで階段を降りてゆく。
     この時、男はニタニタ、もうワクワクしてるのが伝わってきてたねー。
     ぴたーっと側にくっついてて離れやしない。絶〜対、この獲物は逃さんと…。
     そいで思くそ痛い目に会わせてやるぞと心の中で息巻き、ほくそ笑んでやがった。
     もう待ちきれないのかなんなのか、階段降りながら耳元でゴチャゴチャ言って
     たんだけど、僕はそこでも一喝してやったのさ。
    「ゴチャゴチャ言っとらんと黙ってついて来んかい!」って。
     火に油を注ぐ展開。さらに怒りをこれでもかって具合に煽ってやった…。
ムミン:「……冷汗……」「それでどうなったの?」
スナフ: そんでそのまま、二人連れ立って、駅長室の中へと堂々と入ってやったのさー。
ムミン:「…」
スナフ: あとは事情を察した駅員数名に奴は取り押さえれていたよ。
     あっという間に…。
     そんで駅員さんは僕には早く立ち去るようにって…。
ムミン:「…」
     状況が

、奴は僕に向かって、なんか怒鳴ってたな〜。
    『何処、行きさらすんじゃー、オンドレわーーー!』って。
     その後は、僕は胸を張って、独り悠々と涼しい顔して改札を通っていたよ…。
ムミン:「……」
スナフ:そうそう…最初にね、僕がトラブルを持ち込んで来たことに気づいた若い駅員は、
    心底嫌そうに、侮蔑の眼差しで僕の目を見たんだ。この態度は、おかしくない
    ですか?って、

に、職員の対応についても注意をしておいたよ。
ムミン:「………」






スナフ: 名古屋の繊維仕上加工の会社さんとの付き合いでの話さ…。
     これも飛び込みで関係築いた先様だった。
ムミン:「ふ〜ん…」
スナフ: そこは社歴と知名度はあったが今はもうシケた限りの相手でしかなかった…。
     それがさ〜ひょんなことから中国から技術指導の依頼の話が舞い込んできてた。
     中国現地の相手方は、とんでもなく大きな加工場さんだ…。
ムミン:「ふ〜ん…」
スナフ: それで紹介する加工剤は僕んところのものを嵌め込みたいって言うんだ…。
     とんでもないボリュームになるって…。えらい大金が動くぞって…。  
     それで、そうなった暁にはマージン10%を寄越せって…。
ムミン:「ふ〜ん…でもまあ良かったじゃない…それで話は上手くいったの?」  
スナフ: どっかでたち消えになったんだが、それはどうでもいいことなんだ…。
     話したいことは別にある。
     間に入ってきた頬紅(ほおべに)っていう商社に関してなんだ。
     いや、それの担当窓口になっていたとある上海人との

ってやつさ…
ムミン:「………」     
スナフ: 僕は以前に一人、上海人ってのを見知っていた。どちらもとても似てたよ…。
     頭の回転だけは恐ろしい程に早い。そしてプライド高すぎ…。
     多分、彼らは、母国では超有名大学出なんだろうね…。
ムミン:「………」   
スナフ: 二人とも口がすっごくよく回る奴だった。そして何よりも相手の落ち度に
     関しては絶対に見逃すことはない。それがどんなに些細なもんであってもさ…。
     目敏く見つけたなら間違いなくその弱点を突いてくる。
     まさに功夫(クンフー)の達人の如くに、連続口撃は繰り出されていたもんだ…。
ムミン:「へー…」  
スナフ: まあぞんざいに、はっきり言って仕舞えば、幼児(こども)みたいなお喋りさんなのさ。
     ああ言えばこう言うの屁理屈てんこ盛りの場当たり的な人間だった…。
     昔さんま先生にでていた、こまっしゃくれたブランド君が連想されてたよ。
ムミン:「ふ〜ん…」
スナフ: 僕は底の浅い人間、虚栄心ばかり強い、頑迷なだけの人間ってのが苦手なのさ…
     その担当窓口は立場をいいことに、降って湧いただけの仕事でしかないくせに、
     僕に対してはすっごく偉そうで高圧的だったんだ。未だ若いくせに…。
ムミン:「………」  
スナフ: ムーミン、知っておくべきことは、
     裏方の事情ってのには精通しておくべきだってことさ…。
     それが分かる情報ルートってのが僕にはあった。つまりは名古屋の加工場さんさ。
ムミン:「………」  
スナフ: 遠く名古屋のド田舎まで僕は足繁く通っていたよ…。そして行けば、本来なら知り
     得ない、教えてはもらえない類の話ってのが聞けたんだ…。向こうは暇してたんだ
     ろね、余計な無駄話がわんさか出てくる。若いここの後継者がベンツのSLK乗って
     会社に出社して来やがるっとかどうとかこうとか、もう社内の愚痴だらけ…。
ムミン:「………」 
スナフ: まああるときの訪問で知り得た状況ってのが、トライアルの段に入っていて、
     加工試験の立ち合いで、もうすぐ現地に行かれるってことだった。
     助剤として使うケミカルは、僕んところのもの

だと…。
     短期では事は固まってて動かし難い。つまりは、もう確定事項。
     これが僕には知れちゃってたんだ…。
ムミン:「………」 
スナフ: でだ、ここからは話は短い…。
     試験加工用の購入で納期やら価格の折衝が待ち構えていたんだ。
     案の定、若き上海人の担当窓口は偉そうにものを言ってきた。
     でっ!電話を通してだったけど、僕は言ってやったんだ:

    「お前は口の利き方を知らんなー
    「もうええわ、お前んとこと商売やる気はもうない
    「もう二度と電話かけてくんなっ!!!」って
 
     それは激しく、声だかに、おもくそ乱暴に上からものを言い放って
       「ガッチャン」って電話を切ってやった。

ムミン:「…それで…どうなったの?」 
スナフ: ものの五分もしない内にまた電話かかってきた…。
     同じ人間か?と思える程までにしおらしくなってたよ。彼…。
     それで低姿勢の限りを尽くして、
     平身低頭の思いの丈を込めて、取引の話を進めてくださいって…。
     お願いですからどうぞ(よろ)しくって…。
ムミン:「………」 






スナフ:自分のケツの後始末もできなくなるってどう思う?
ムミン:「…どゆこと?…」
スナフ:言ったまんまさ…糞垂れた後、もうなんにもしない、できやしないんだ…
ムミン:「………」 
スナフ:でっ当たり前みたいな顔をして、こっちに痩せ衰えたケツを突き出してくるのさ‥
    よろよろと…ぷるぷると…ふらつきながら、壁に手ぇ突いて…
ムミン:「………」 
スナフ:僕は、それはそれで構わない、しょうがないってずっと思ってたさ…
    でも、ある時…その無神経さ、その存在のあまりの惨めさ、
    そして何よりもそこにある

に発狂してしまう…
ムミン:「……」    
スナフ:気づいたときには渾身の力で相手を張り倒してたよ。
   『しっかりせんかー!!!』って叫びながら…
    歯が一本、飛んでいくのを目の端でとらえてた…。
ムミン:「………」 






ムミン:「ボッ、ボク…なんか、お(なか)空いてきちゃった…」
    「スナフキンは今晩何食べるの?」

スナフ:『 ニョロさ… 』





      〈Completed!〉







   補完:




 なんかの和え物










https://www.youtube.com/watch?v=pQK7MMGVQ0A (仏語Ver.)
https://www.youtube.com/watch?v=z-SYUR77mLc  (日本語Ver.)

この最初期のOP曲は、ただただ素晴らしい。
  こういった曲調のものは廃れゆくばかりであろうからUPしとく。




あとがき:

分かってくれてるだろ〜ね〜?!。
ここにあるのはみんな作り話、創作だかんねー!。
一片の事実さえないからねー!。

前に、この鍵の創作話を奥さんに聞かしてみたら軽蔑された…。
Don't be such a square !

部屋ん中に蜘蛛がよく出るんだ…。
今の季節は子グモがよく現れる。
苦労して捕まえたら庭に逃してあげてるんだ…。
何年も何年も続いていて未だに全く全然終わらないんだ…。w。




おまけ:

どうでもいい話…。



考えたら、娘はリトル・ミーにそっくりなんだ。睨み癖がある。
蟹座で巳年でタイプ7。そして名前の画数は

を与えてしまった。
もう始末に負えない存在になってしまってるー…。

そんで奥さんはミムラ姉さんそっくり。

が入るとこなんか全く一緒だ。
彼女、これ昔に言ったこと未だに根に持ってる。
でもこれこそが彼女の本当の

なんだー!…。


さらに一人息子たる、あの奇跡の子は、ムーミンそのものだとも言える。
成人した今もて、前にも増して、更に更に…。
キャスパー転じてムーミンと化すだ。

そして、それなら、私めは…。


追記:
これ書いてから、はたと思い至ったことがある。
我が家には、ムーミンパパとムーミンママが欠落してるんだな〜。
子らが可哀想だ…。


日々に祈りの念を掻き立てるべくの悔恨は、深く深刻でかつ益々豊富になりゆくばかり…。



負債ばかりが嵩んでゆーくー…

『 リモーーース!!!』
   (Remorse)

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み