能面が先生

文字数 433文字

「はい、どうぞ。」
ミクがペットボトルの緑茶を手渡してくれた。
「ありがとう、ちょうど喉が乾いてたんだ。」

「チャンネル、替えようか?」
「ああ、ありがとう。」
テレビの画面がバラエティーから音楽番組に切り替わった。

「あ、ごめん。次の用事あったんだ、じやあ失礼するね。」
デートの途中でばったり会った彼女の友達と長話になりかけたとき、ミクはそう言って切り上げた。
そのあと二人並んで歩いていると、彼女はフフッと笑った。
「この人、早口でいっぱい喋って苦手だなあって思ってたでしょ?」
「う、図星。何でわかったの?」
「簡単よ。コウヘイは思ってること、すぐに顔に出るんだもん。」
「そ、そうかなあ。」

彼女はほんとに気がきく。嬉しい反面、将来が少し不安になる。
迂闊に彼女に内緒で女の子と飲みに行ったりできない。

彼女は、さらにいたずらっぽく微笑む。
「ポーカーフェイスの練習ってどうすればいいんだろう、なんて考えてないで、少しは私の表情を読み取る練習をしてね!」

「図星だ・・・」
声に出てしまった。
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