永遠なる待機

文字数 310文字

作家Aは、没になった過去作のリライト作業に没頭していた。

担当編集者から無駄に長すぎるので、一冊に収まるよう、カットすれば出版を約束するとのこと。
『無駄に長い』という物言いにカチンときたが、確かに冗長さは否めない。

彼にはその原因が、わかっていた。
脇役のB子のサイドストーリーが長すぎるのだ。

作家Aは思いきってB子の存在を消し、関連のエピソードをカットした。
作品はシンプルでメインストーリーが引き立った。
書籍化されたその物語は売れた。

ここは、『物語の待合室』。
B子は次の出番を待って、長椅子にぽつんと座っている。

ここから出られる日が来るのか、
なんの保証もないまま。

主人公への密かな思いを捨てきれぬまま。
彼女はひたすら、待つ。
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