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文字数 649文字

七人の取り巻き達にも動揺が広がっている。
目の前にいるのが、あの江草(えぐさ)(れん)だとすぐに気付いた者がいたのだろう。

元リーダー九条(くじょう)赤子(あかご)扱いした程の相手だ。格闘技の選手は喧嘩はしない、とは聞くが、少なくともこちらが脅しても通用しないだろうし、万が一キレられでもしたら病院送り必至であろう。
取り巻き達の間に広がった動揺は恐怖に変化した。

今、この場のリーダーは自分である。
取り巻きが皆、チラチラと自分を見ているのを小鹿(こじか)は感じていた。

――あとのことは頼んだよ。みんな私を見限って離れていったけど、それでも何人かは残ってくれている。そいつらを束ね、面倒をみてくれ…。

病室での九条(くじょう)の言葉が耳の奥に蘇る。
尊敬する彼女に、手を握られ涙ながらに訴えられては、小鹿(こじか)にその願いを突っ撥ねることなど出来なかった。

が冷静に考えてみると、とんでもない面倒を引き受けてしまった、と梶原(かじわら)小鹿(こじか)は心の底から後悔した。

こんな時に余談だが、不良のリーダーはお金がかかる…。

こいつら取り巻きは、そうだ仮に”取り巻きーズ”と名付けよう、
取り巻きーズはとんでもなく沢山食べるし、遅い時間までアホみたいに遊ぶし、もちろんそれら全ての費用をもつわけではない。たまに後輩の分をおごったり同級生の分も多めに払ったりすることがあるが、一番はそれらに付き合う”小鹿(こじか)自身の分”の出費であろう。

当然、やがて資金は尽きて来る。
取り巻きーズも各々の小遣いが無くなったらしく、リーダーの小鹿(こじか)にせびってきた。

そんなとき…、ちょうど街で武本(たけもと)ひあのと烏山(からすやま)ちとせに出くわしたのだった。
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