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文字数 1,140文字
私、サッちゃん…ホットミルクティーを飲んでいる。最近ではこんな風にファミレスでの独 り茶会 が何よりの至福のひとときとなっている。サッちゃんは客もまばらな店内をそれとなく見回す。こんな時間だから勿論学生もいないし、多忙なランチタイムを過ぎたので昼食をとるサラリーマンもOLもいない。聞こうと思えば聞こえるくらいに絞られたBGMが店内に鳴っているだけだ。
――落ち着くなぁ…
ちょっと前までは同級生や後輩たちと一緒に授業をサボってたむろしたりしていたが、最近は大体 独りだ。
少しも寂しくなんかないわ。むしろこういうのが性に合っているんだ。
「九条 さん。」
「?!」
サッちゃんはびっくりしてティーカップと一緒に飛び上がった。いつの間にかサッちゃんのテーブルの前に知らない男の人がいた。いや、知ってる高校の制服、杏仲 高校の男子生徒だ。でも知らない子。
「九条 サチさんですよね?」
その男子生徒はサッちゃんのことを知っているらしい。
――は?!これって…ナンパ?
サッちゃん瞬時に真実に到達してしまった。
サッちゃんこう見えてこの辺りでは割と有名人だったりする!どこかでサッちゃんを見掛けて気になっている殿方がいても全然不思議ではない。
「俺、古沢 正直 と言います。杏高 の1年です。」
サッちゃんが思った通りだった。
――やっぱ年下かー!
サッちゃんこう見えて"くすぐり系"弱い。母性本能をくすぐってくる年下の男の子に弱い。はっきり言っちゃうと好きだ。大好きだ。
ニパッとした笑顔の前歯にほうれん草がついている…。ずっと教えない、ずっとつけててほしい。
今日まで惨 めだった。
アイツに、江草 連 に無様に敗北してから今日まで…。
チヤホヤしてた奴らは蜘蛛の子を散らすように去って行った。勝ち続けられないサッちゃんは無価値なんだな、と思い知った。
これはきっと神様が、絶望の淵を彷徨 うサッちゃんを救い出すために与えて下さった奇跡なのだそうに違いない!
「…あの、九条 さんですよね?」
正直 君が、いや、サッちゃんの方が年上だから呼び捨てでもいいか…。正直 が固まって何の返答もないサッちゃんを訝 しんでいる。
「…はい、何か?」
この流れで返事をしたのだからサッちゃんが九条サチであることは確認できたと思う。落ち着いて返答できてたはず!
「今週の土曜日って、空いてたりしますか?」
――?!いきなりデートの誘い?!正直 、恐ろしい子!
と思ったけど、そもそもナンパって言うのは"今から"一緒に遊ぼう、という誘いだ。今の彼の場合は週末のお誘いだ。女子にはいろいろ準備が必要であることを気遣ってくれているのだ!
「土曜日か…ん~。」
即答したら何かはしたない気がするから、サッちゃんはスマホを無駄に弄りながら考え込む振りをした。
――落ち着くなぁ…
ちょっと前までは同級生や後輩たちと一緒に授業をサボってたむろしたりしていたが、最近は
少しも寂しくなんかないわ。むしろこういうのが性に合っているんだ。
「
「?!」
サッちゃんはびっくりしてティーカップと一緒に飛び上がった。いつの間にかサッちゃんのテーブルの前に知らない男の人がいた。いや、知ってる高校の制服、
「
その男子生徒はサッちゃんのことを知っているらしい。
――は?!これって…ナンパ?
サッちゃん瞬時に真実に到達してしまった。
サッちゃんこう見えてこの辺りでは割と有名人だったりする!どこかでサッちゃんを見掛けて気になっている殿方がいても全然不思議ではない。
「俺、
サッちゃんが思った通りだった。
――やっぱ年下かー!
サッちゃんこう見えて"くすぐり系"弱い。母性本能をくすぐってくる年下の男の子に弱い。はっきり言っちゃうと好きだ。大好きだ。
ニパッとした笑顔の前歯にほうれん草がついている…。ずっと教えない、ずっとつけててほしい。
今日まで
アイツに、
チヤホヤしてた奴らは蜘蛛の子を散らすように去って行った。勝ち続けられないサッちゃんは無価値なんだな、と思い知った。
これはきっと神様が、絶望の淵を
「…あの、
「…はい、何か?」
この流れで返事をしたのだからサッちゃんが九条サチであることは確認できたと思う。落ち着いて返答できてたはず!
「今週の土曜日って、空いてたりしますか?」
――?!いきなりデートの誘い?!
と思ったけど、そもそもナンパって言うのは"今から"一緒に遊ぼう、という誘いだ。今の彼の場合は週末のお誘いだ。女子にはいろいろ準備が必要であることを気遣ってくれているのだ!
「土曜日か…ん~。」
即答したら何かはしたない気がするから、サッちゃんはスマホを無駄に弄りながら考え込む振りをした。