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文字数 1,031文字
私は古沢 君もろとも紙屑まみれに…
…ならなかった。
確かにパン!という乾いた銃声が部室内に響いたし、ほんのりと火薬の匂いが漂 っている。が、細かくカットされた色紙 も細いくしゃくしゃのテープ状の色紙 も何も射出されなかった。
「クソっ!散らからないタイプかよ!」
と玉木 が苛立たしげに吐き捨てた。後片付けがラクな弾薬 を込めてしまったらしい。
「ふん!運のいい奴らだぜ。」
やはりちょっと恥ずかしいのか玉木 は気まずそうにしていた。
「お前たちの強運に免じて今回だけは見逃してやる!」
よほど動転しているのか、口調 も維持できていないのではないだろうか…。さすがにちょっとかわいそうだな、と思っていると、
「後悔するぞ。俺たちをここで始末しなかったことをな!」
と古沢 君が何とか温度を保ち流れを止めないようにと食 い掛 った。
「んぬほほほほ!あなた方に何が出来るのです?もう文化祭は今週末なのですよ?ぬほほほほほ」
――良かった、持ち直した。
「せいぜい悪あがきすることです。」
玉木 は部室出口へ歩いた。そして、ドアを閉める背中だけで言った。
「復讐のパレードの始まりです。」
*
オレンジのハスラーが昼下がりの市道を鞣 して行く。
私は古沢 君のクラス担任に、彼が怪我をしたことを伝え、早退させる許可を得た。そして保健室で古沢 君の傷を手当てし、車で彼を自宅まで送っている。
古沢 君は極度に疲労してるけれど意識ははっきりとしているようだった。第二音楽室に私が踏み込むまでの玉木 との会話内容や、自分が女子生徒達からうけた仕打ちなどについて話してくれた。
「本当 有り得ないですよ!!!ネイビーとグレーとベージュですよ!」
彼が何に憤 っているのかは全く分からないが、思ったより元気そうで良かった。
「つまり…玉木 の目的は江草 雷蔵 の暗殺…と?」
そして私は話を戻す。
「ええ、すごく掻 い摘 んで話してもらっちゃったんで実はよく分からないんですけど、多分そうみたいです。」
「江草 雷蔵 って杏仲 高校運営理事の代表を兼任してる人よね。」
が、私も詳しい訳ではない。
「文化祭当日、タンバラーの大群を使って、或いはそのドサクサに紛れて、彼を殺害するつもりかもしれません。」
古沢 君が玉木 の出方 を推測した。
踊り狂ったタンバラーの群れがたった一人を目掛けて襲い掛かる…
それは恐ろしいイメージだった。
古沢 君も同じように想像しているのだろうか、不意に車内は静寂に包まれた。
「先生。」
「なあに?」
「休んで行きませんか?」
運転席の私に向かって古沢 君はそう言った。
…ならなかった。
確かにパン!という乾いた銃声が部室内に響いたし、ほんのりと火薬の匂いが
「クソっ!散らからないタイプかよ!」
と
「ふん!運のいい奴らだぜ。」
やはりちょっと恥ずかしいのか
「お前たちの強運に免じて今回だけは見逃してやる!」
よほど動転しているのか、
「後悔するぞ。俺たちをここで始末しなかったことをな!」
と
「んぬほほほほ!あなた方に何が出来るのです?もう文化祭は今週末なのですよ?ぬほほほほほ」
――良かった、持ち直した。
「せいぜい悪あがきすることです。」
「復讐のパレードの始まりです。」
*
オレンジのハスラーが昼下がりの市道を
私は
「
彼が何に
「つまり…
そして私は話を戻す。
「ええ、すごく
「
が、私も詳しい訳ではない。
「文化祭当日、タンバラーの大群を使って、或いはそのドサクサに紛れて、彼を殺害するつもりかもしれません。」
踊り狂ったタンバラーの群れがたった一人を目掛けて襲い掛かる…
それは恐ろしいイメージだった。
「先生。」
「なあに?」
「休んで行きませんか?」
運転席の私に向かって