第130悔 ラヴジルのコピー
文字数 1,657文字
無毛猫の潤いに満ち満ちた桃色の唇が、テンダ・ライの口を完全に塞いだ。
NWV随一の堅物である彼は、この夜も出かける前にヒゲを綺麗に剃ってきていた。皮肉なことに、もう一方の無毛猫も常に隠すところのない下の口の持ち主だったため、勢いよく交錯した二つの口は瞬間、真空状態となり、よく密着した。
「とくと味わえ、罪棒人よ! プッシー・スプラッシュ・マウンテン!」
無毛猫がそう秘部技名を叫ぶと、下で見守っていたスプリンガーたちから歓喜の悲鳴があがった。
「行けーッ! 猫先生! チンケな粗棒を刈り落とせ!」
二つの口は完全に密着しているため、無毛猫のプッシー・ハイジーンから大量のプッシー液が噴射されても、一滴たりとも漏れ出るものは無かった。
その代わり、それまで桃色に輝いていた無毛猫の女股周辺の光が川の流れのように形を変えたことによって、テンダ・ライの口から食道を通っていくのが可視化されていた。
「てやんでぇ、なんてキレイな景色なんだ……」
ギャングの片割れ、ロンゾが絶句すると相棒も嫉妬まじりに同意した。
「俺たちの天の川ほどじゃねぇさ……畜生ッ!」
そして、続けざまにファミーヴァが堅物にエールを送った。
「いずれにしてもよ……旦那、諦めるんじゃねぇぜ。諦めたておっ
しかし、ギャングの願いも虚しく、間もなく桃色の光がテンダ・ライの体内を流れ尿道に達すると、“堅物”に包み被さっていたフードが一息にはだけた。
「猫先生のアレを飲んで勃起しない男なんていないから! 兄さん方もいよいよソイツらの納めどきだね!」
ブレンダがそう言いながらアゴでロンゾ&ファミーヴァの股間を指すと、二人は恥ずかしそうに“ギャング”を仕舞い込んだ。
――美味い! 美味すぎるッ! この女の女股水は、まるで炭酸飲料『ラヴジル』じゃないか!
そして、人生最高の液体を味わうテンダ・ライは、ひとつのことに気づいた。
――いや、待てよ! 『ラヴジル』の宣伝文句である「ラヴジルはメスの味」というのは……もしかして、そういうことだったのか!? そうかそうか! 何たる本末転倒! あのキャッチコピーを考えたヤツは、ノーブラ文学賞ものの天才ではないか!
そして、テンダ・ライの“堅物”は、この夜一番の猛りを見せた。
――もはや疲労困憊にして絶棒寸前だった私の中に、信じられないほどのエネルギーが宿った! 今となってはもう遅いかも知れんが、くぅ! なるほど、赤の他女股でもこうなんだ……今ならイサベラ様の皇女股にまつわる伝説も心から信じることができる!
罪棒がキリの良いところまで屹立したことを確認すると、無毛猫はいよいよ仕上げのセリフを発してみせた。
「どうやら潮が満ちたようだな! うぬのフシダラな罪棒、この無毛猫が頂こう!」
そう言ってから無毛猫は改めてヴァギーナイフを抜くと、両脚の締めつけを解錠して飛翔一番、高々と花街の夜空に舞い上がった。
――と、そのときだった。
噴水広場に叫び声をあげる者があった。
「待て! 待ってくれ! そいつは違うんだ!」
無毛猫はしかし、止まることを知らない。
ヴァギーナイフを“堅物”に向け、垂直落下式で刈る直前――。
「そいつは童貞なんだ!」
無毛猫にとっては
「――何だと!」
逆さまに落下したまま宙空で慌ててヴァギーナイフを納刀し急制動をかけた無毛猫は、すんでのところで去勢を回避してテンダ・ライにしがみ付いて止まることができた。
「――っだぅはあぁん!」
テンダ・ライがこの夜最大の果て声をあげると、下で見守ることしか出来なかったロンゾ&ファミーヴァが手を叩いて喜んだ。
一方で、無毛猫の去勢マントを広げて待っていたブレンダらは、膝をついて悔しがった……。
第130悔 『ラヴジルのコピー』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆