第101悔 101悔目のコルセット
文字数 2,771文字
エンリケ後悔皇子は、来るべき新世界において活躍する人類を『
これによって円形協議場に集った大観衆の間にも、新人類に対する具体的な印象がようやく芽生え始めていた。
「なるほど、そうか! “後悔”することによって新人類へと近づき――」、「うむうむ、その新人類とは何の憂いもなく『Yeah!』と叫べる者であり――」、「そうそう! そして、そんな彼らを『ニュー・イェア』と呼ぼうではないか、と!」
後悔卿トスカネリは、機転を利かせたエンリケの即興演説に改めて感心していた。
民草に進むべき道を指し示す……。これはジョアン大皇も皇太子マルコも今までしてこなかったことだ。それを、この十六歳の若き勇者がやってみせた。素晴らしいではないか! いよいよ、可能性が見えてきたことを私は実感している。もちろん、姉のイサベラの学術に対するこだわりとそれを弟君に教授しようという“裸一貫”した態度の影響が大きいことは言うまでもない。エンリケとイサベラ……この国の未来を担うのは、こちら側だ!
エンリケは、観衆に手を振ったあと再び司会席に腰を下ろした。傍らの家庭教師に語りかける。
「そういえば、先生。うっかり忘れていましたね! 姉上が帰ったあとは、我々も円卓に入って議論を尽くそうとしていたことを」
「おお、そういえばそうでしたな! では、私めも」そういってトスカネリもイヴァノフが座っていた席に腰を落ち着けた。
そのイヴァノフは、三階席通路で横たわり未だに快感に身を
――私の
助けを呼ぼうと辺りを見渡しても、そこにはもう近衛騎士もインペリアル・ガードもいなかった。
少し離れた場所で道化師衣装を着こむスピナッチの姿が見えた気がしたが、脳内を麻薬物質が盛んに駆け巡っているせいか、視線が定まらなかった。
「み、みんなどこに……」
しかし、そんな彼女に肩を貸す者が現れた。
ファニチャード・デルガドであった。
彼女自身も『
ファニチャードは、通路の床に転がったままの『黒鉄のコルセット(レプリカ)』を拾い上げてから近衛騎士団副長に声を掛けた。
「イヴァノフさん! さぁ、これでもう一度、起ちあがりましょう!」
ファニチャードが、露になったままのイヴァノフの下半身にコルセットを装着すると――やはり――不思議なことにイヴァノフの中に力が湧いてきた。
「恩に着る、ファニチャード」
そういってから起ちあがると、彼女の“常世の国”から大量の白濁液が滴り落ちた。恥じ入ったイヴァノフがその白い溶岩の言い訳を少女にしようとしたが、よく見れば、そのファニチャードの足もとにも同じような白い何かが垂れていた。
――なんだと? どういうことだ? この子の
少女が今さっき五人の大人に犯されていたことに気付かなかったイヴァノフは、腰骨を折られ激痛に苛まれながらも自慰行為をしたため体力の限界に近づき、仮眠を取らなければならなくなった時のことを思い出していた。
わからない……そのあと私は……。
イヴァノフは“満身創痍の女王の住処”から血を流して倒れたため、あの後、どこまでエンリケがエスカレートしたのか把握していなかった。実際には、ファニチャードの方がエスカレートして皇子に
もし、この素直で
イヴァノフが詳しいことを聴こうと肩を貸してくれている少女の方を向いた時――ひとつの事に気づいた。それは、自身の腰に巻かれた『黒鉄のコルセット(レプリカ)』が目の端に入った時だった。腰部ベルトの一部が、わずかに展開していた。
「こ、これは?! レプリカじゃない!」
さっきまでレプリカだと思っていた――いや、思い込んでいた――後悔三銃士リーダーが持ってきたコルセットをよく見れば、それはレプリカなどではなく……あの少女の凌辱の日に、
たしかコレはタイタス殿がトスカネリに言われて持ってきたはず! あの男……どこでコレを? 一体全体、何者なのだ!
オリジナルのコルセットをどうしたのかは、イヴァノフとエリクソン・シンバルディしか知らないはずだった。
ましてやオリジナルとレプリカの違いなど、私以外に知る者はいないのだから……。
オリジナルの『黒鉄のコルセット』は一部、可変構造になっており、腰部のボタンを押すと骨組みが展開し、膣とアヌスにナイル医師の肉棒を
イヴァノフは、震える手で恐る恐るベルトのボタンに手を伸ばした。
このボタンを押せば……どうなるものか……。危ぶめば……道は無し……。
彼女は――もしかしたら、再び『黒鉄のコルセット』を完全な形で装着することにより、少女の日のトラウマが消え去るかも……今なら、嫌な記憶を
ところが、イヴァノフの決断より早く、
〈ジャギンナッ!〉という金属音と共に、腰の後ろの骨組みがイヴァノフの股の下に向かって展開し、肉棒を模した黒鉄が彼女のヴァギナとアヌスを襲い、〈ジュブナイルッ!〉と音を立て突き刺さった。
それはさらに、イヴァノフの中で
「ろぉずばぁっとぉっ!」と声をあげ片膝を突いた近衛騎士団副長を、大観衆が応援した。
「大丈夫!」、「アンタこそ最初の
観客の言うとおりだった。
本当だ! あの頃は痛くて仕方のなかったこのコルセットが……今の私には、小指が入った程度に思える! 私の女股は進化しているのだ! 女股が極度に発達した新しい人類なのだ!
「私は……私は、もはや性的虐待の被害者ではない!」
トラウマを
第101悔 『101悔目のコルセット』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆