第57悔 ああ、女股神さま
文字数 3,534文字
私は、初めてエリクソンさま以外の神に祈った。
それは、さすがの
入学式までのおよそ一週間は、慣らし期間だった。昔も今も教官や助教らなどに『お客様期間』と呼ばれている、それだ。
その期間で起床から就寝までの一日の流れを体に覚えさせるのだ。初めての集団生活ともなれば食堂での食事一つとっても私たち子供にとっては未知の体験だった。制服や持ち物、
他にも覚えなくてはならない儀式的な事がたくさんあった。
……にも関わらず、私の同室の三人の男子は、一週間ずっと部屋に
私たち四人は入学式に遅刻した。朝の起床ラッパに気づけず、起きる事が出来なかったのだ。
それと言うのも前の晩――というかほとんど朝まで、入学の景気づけだ、と言わんばかりに年上の男子三人が私を代わるがわる
もしかしたら、彼らはもう入学の事などどうでも良かったのかも知れない。十三歳の少女におよそ一週間にわたり持てる精力を発揮し続けるという得難い体験をしたのだから。
それほど、十五歳の三人の“反社会的精力”は、徹底的に私の“
五日も経つ頃には三勢力同時に私の一つの“住処”に突入できるほど、それは拡大され、破壊しつくされた。
知識がなかったわけではないだろうに、三人は私の中で遠慮なく果てた。もし、妊娠しても三人の内の誰の子かわからないだろう、という言い訳が出来るからかも知れない。
奴らは、三勢力同時に私の“住処”で果てる、というサーカスプレイを開発したところで納得し眠りについた。
その朝が入学式当日だった。
私は奴らによって無理やり制服を着させられ、入学式に飛び込むこととなった。
ちょうど演台では校長であるエリクソンさまが訓示を終え、席に戻る途中だった。
初めて見る実物のエリクソンさまは、凌辱に耐えていたさっきまでの私をベッドのすぐ隣で応援していたイマジナリーフレンドのエリクソンさまよりずっとずっと素敵で――私の“住処”から“反社会的精力”が残した白濁液を
それはまるで、エリクソンさまが私の中から奴らを追い出してくれたような気分にさせた。
私たち四人は慌てて会場に駆け込んだものだから、場内の人たちの注目を一斉に浴びることになった。厳粛な式の最中である手前、声を出して私たちを叱る大人はいなかったが、それでも視線がつらかった。
彼は、私を見るなりギョッとした顔で席から立ち上がった。
バレた?! でも何が? 女であること? 凌辱されていたこと?
自分でも気づいてはいた。この一週間で明らかに
式のあとに私たち四人は教官に呼び出され、烈火のごとく叱られた。
この教官は私が女であることに気づかなかった。ただ、あまりにも具合が悪そうな顔をしていたからか、私に向かってはそれほどキツイ言葉を発してこなかった。
外道の三人は、反省したふりをしてひたすら頭を下げていたが、目ではこっちを
彼らが私にしたことをこの場で暴露するんじゃないかと心配だったのだろう。
私は迷いもしなかった。すべてはエリクソンさまに近づきたいがため。こんな愚か者三人に構っている暇はない。
そのあとだった。一通り説教がおわり解放されるかと言う時に、校長が部屋に入ってきた。
外道どもに何やら一言ずつ声を掛けているようだったが、極限の緊張状態に突入した私には何も聴こえていなかった。三人は順に居室に帰され、残るは私一人となった。
目の前に本物のエリクソンさまが立った時、私は瞬時に卒倒した。
その前の教官の長時間の説教が、すでに破壊しつくされていた私の背骨と腰に致命的な損傷を与えていたというのもあったのだろう。
私の股間からは尋常じゃない量の精液が逆流して漏れ出していた。
医務室で目が覚めた。
あのポン・デ・ナイルの医務室でだ。同じベッドで……。
背中から腰にかけて何か硬質なもので押さえられているような違和感があった。それが、初めての『黒鉄のコルセット』だった。
そして、足元では……相も変わらずポン・デ・ナイル医師が私を犯していた。
狂ったように腰を振り、〈ジュヴッ! ジュヴッ!〉と音を立てていた。それが、目覚ましとなって私は起きた。
デ・ナイルは、「ルームメイトにずいぶんと酷い目に遭わされたようじゃないか! グンダレンコ君! とりあえずコルセットを装着してあげたが、これだけでは不十分だ。
例によって、大開脚したままの
デ・ナイルはガリガリに痩せ細った私の体が気に入ったらしく、極太の一物を挿入したまま、抜かずに五回発射した。
やがてエリクソン校長が戻ってくる頃にはデ・ナイルも果て尽き、まるでずっと献身的な看護をしていたかのようにベッドの横にある椅子に腰かけたまま眠っていた。
エリクソンさまは私の手を握りしめ、そして、おっしゃった。
「辛かっただろう……でも、もう大丈夫。君のルームメイトは三人とも退学だ」
どうやらエリクソンさまは入学式に遅れてきた私の姿を見てすぐに異常な事態に気が付いたらしい。
涙が出た。
デ・ナイルから三人の外道に至るまで、凌辱されている間中、私はずっと泣いていたはずなのに、この時の
「もちろん、未成年とはいえ彼らのしたことは犯罪だからね。いずれ法の裁きを受けることになるだろう」
私は黙って何度も頷いた。
「それから――」と言うと彼は腰に帯刀していた剣を抜き、振り向きざまに
私のベッドの足元にゴロンと首が転がった。
ポン・デ・ナイルは果てて眠ったまま、いつの間にか死んだのだ。
「これでもう本当に、君が女の子だと知る者はいなくなったね」
あたりは一面、血の海となったがその瞬間、私はおそらく人生で一番の笑顔だったに違いない。
そして、エリクソンさまの前で初めて声を出した。
「エリクソンさま! ずっとこの日を夢見てきました!」
そう言うと彼は私を優しく抱きしめてくれた。
だから、調子に乗った私は言ってしまったのだ。
「私の
エリクソンさまは「いや、でも……」と大変、戸惑っていたが、私が「エリクソンさまが校長になったから、私もこんな無茶をしてしまったんです」と言うと観念したのか「……いいのかい? 僕で」と聞いてきた。
「エリクソンさまが良いんです! エリクソンさまじゃなきゃダメなんです!」
私は十三歳で性交同意年齢に達していたわけだから――エリクソンさまも独身だったし――彼に断る理由がなくなった。
こうして、私とエリクソンさまはポン・デ・ナイルの血で塗れる医務室のベッドで次の朝が来るまで
私はベッドの上に転がるデ・ナイルの首に見せつけるかのように夢中で腰を振った。この時ばかりは、背中の痛みも感じなかった。
そして、エリクソンさまのものが私の中で爆発したあの日から、イマジナリーフレンドの方のエリクソンさまは消えていなくなった……。
それは、私の――ゾーイー・ストーマーの『ジュヴナイル』物語の終わりを示していた。
その日以降もルームメイトが永久に去って私だけになった居室に来てもらっては、何度も何度も清めてもらった。
ところが、ある時気づいた。一向に妊娠しないのだ。
私は、エリクソンさまに頼み、外の医師に受診させてもらった。
医師の診断では、私の子宮は破壊され子供など到底できる状態ではない、と言う。
一緒に付いてきてくれたエリクソンさまが私の手を強く握る。
ああ、創造の女神、
どうか、どうか……私の性器にお力を……!
私は、初めてエリクソンさま以外の神に祈った。
それは、さすがの女股神さまにも無理な願いに思えた……。
第57悔 『ああ、