第69悔 妄夢的理論武装
文字数 1,431文字
――それは本来、比べたりするものではないのかも知れない。
「あの子の“城門”が見たい!」という強い想いが、僕をマグアインブルグ門の下で反英雄 ・妄夢 に変身させた。
「あの子」ことアンナマリアはやがて僕の妻になり、それはもう六年も前の出来事となった。
翻 って、今日――。
久しぶりに見た美しい“城門”の持ち主、後悔三銃士の紅一点キャス・バートンとは共に“六九型永久機関”を完成させることが出来た。それはそれは素敵な体験だった。
しかし、彼女は僕を妄夢に変えるまでには至らなかった。
朦朧 とする意識の中でも、僕は堪 えることが出来たんだ。それは、ひとえに僕のアンナマリアに対する深い愛の証左 だ。
だけど、どの“城門”が良いとか美しいとか、美味しそうだとかいい香りだとか……、そういった話はもう止めようじゃないか!
確かに、キャスの“城門”から溢 れ出る膣分泌液 、通称『キャス蜜』は、めちゃくちゃ美味しかったさ!
何度だっておかわり出来た。キャス蜜は妄夢にとってもこれ以上ない栄養剤となった。飲めば飲むほど力が湧いて、妄夢は熱く白いマグマを吐き出し、キャスはその溶岩からエネルギーを得てキャス蜜を醸成させ続けることができた。
だからこそ、世界初の永久機関が完成したんだ。
彼女の“城門”は素晴らしい! それで良いじゃないか!
……いや! だけど、あの日あの時のマグアインブルグ門下では……アンナマリアはそれを自慢の『プッシー・ハイジーン』で何度も何度も、僕の妄夢を起たせては……そのたびに白いマグマを搾取 して……。
空が白けるまで闘い続けた僕たちは――。
今考えれば……実は、あれこそが世界初の“永久機関”だったんだ!
評価と言うのは……評論と言うものは、どうしたって相対的なものなのだから、『城門愛好家』の僕が二つの綺麗な“城門”を比較してしまうのは、止むを得ない事なんだ。
『キャスの門』に不満があるわけじゃあないんだ!
……だけど、どうなんだろう?
世界最高にして絶世の“美麗門 ”を誇る皇女イサベラの『皇女股 』は、僕を居ても立っても居られない精神状態に追い込み、場外へ駆け出させた……。
今日まで何の接点もなかったのに! イサベラ様の『皇女股 』は、僕を瞬時に駆り立てた!
目が離せなかった! もっと香りを楽しみたかった! そして、舐 めたかった!
いや……僕の妄夢で、『皇女股 』を……ハチャメチャにしたかった。
あの“城門”が発する光に導かれて、“皇女の住処”に入城したかった……。
愛妻 がいる身の僕に、そんな邪 な感情を抱かせるあの光は……僕の心の奥底に眠る妄夢を揺り起こそうとするあの光は……悪 しき光――。
つまり『魔光 』だ。
『キャスの門』には何の不満も無い! 悪いのはあの『魔光 』だ!
……ならば――あの『皇女股 』を罰せねばならん! 滅せねばならん!
キャスの為にも、イサベラ様の為にも……我が妄夢の力で、悪魔祓 いをして差し上げるのだ!
そして、あの絶世の女股 は……我が妄夢専用の肉壺となるであろう!
――理論武装は完璧だった。
皇女股の光を見た瞬間にそれを構築できた。
「“城門愛好家”クリストフ・コンバスは、この世界に存在する“美麗門 ”を、ひとつ残らずモノにする」
そんな彼の揺るぎない信念が、議場外に飛び出した気鋭のデザイナーを控え室に走らせて、妄夢の衣装を纏 わせた……。
第69悔 『妄夢的理論武装』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆
「あの子の“城門”が見たい!」という強い想いが、僕をマグアインブルグ門の下で
「あの子」ことアンナマリアはやがて僕の妻になり、それはもう六年も前の出来事となった。
久しぶりに見た美しい“城門”の持ち主、後悔三銃士の紅一点キャス・バートンとは共に“六九型永久機関”を完成させることが出来た。それはそれは素敵な体験だった。
しかし、彼女は僕を妄夢に変えるまでには至らなかった。
だけど、どの“城門”が良いとか美しいとか、美味しそうだとかいい香りだとか……、そういった話はもう止めようじゃないか!
確かに、キャスの“城門”から
何度だっておかわり出来た。キャス蜜は妄夢にとってもこれ以上ない栄養剤となった。飲めば飲むほど力が湧いて、妄夢は熱く白いマグマを吐き出し、キャスはその溶岩からエネルギーを得てキャス蜜を醸成させ続けることができた。
だからこそ、世界初の永久機関が完成したんだ。
彼女の“城門”は素晴らしい! それで良いじゃないか!
……いや! だけど、あの日あの時のマグアインブルグ門下では……アンナマリアはそれを自慢の『プッシー・ハイジーン』で何度も何度も、僕の妄夢を起たせては……そのたびに白いマグマを
空が白けるまで闘い続けた僕たちは――。
今考えれば……実は、あれこそが世界初の“永久機関”だったんだ!
評価と言うのは……評論と言うものは、どうしたって相対的なものなのだから、『城門愛好家』の僕が二つの綺麗な“城門”を比較してしまうのは、止むを得ない事なんだ。
『キャスの門』に不満があるわけじゃあないんだ!
……だけど、どうなんだろう?
世界最高にして絶世の“
今日まで何の接点もなかったのに! イサベラ様の『
目が離せなかった! もっと香りを楽しみたかった! そして、
いや……僕の妄夢で、『
あの“城門”が発する光に導かれて、“皇女の住処”に入城したかった……。
つまり『
『キャスの門』には何の不満も無い! 悪いのはあの『
……ならば――あの『
キャスの為にも、イサベラ様の為にも……我が妄夢の力で、
そして、あの絶世の
――理論武装は完璧だった。
皇女股の光を見た瞬間にそれを構築できた。
「“城門愛好家”クリストフ・コンバスは、この世界に存在する“
そんな彼の揺るぎない信念が、議場外に飛び出した気鋭のデザイナーを控え室に走らせて、妄夢の衣装を
第69悔 『妄夢的理論武装』 おわり。:*+゜゜+*:.。.*:+☆