第二幕第六場(7)(終)
文字数 308文字
私には見慣れた光景です。
あの子の閉じたまぶたが、かすかに動く。
しんとした水面に、ふと、さざ波が立って、
深い水の底から、何かがゆっくりと昇ってくる。
それがリキ君でも、タカ君でも、ナツコちゃんでも、
それとも、私の知らない新しい誰かでも……、
かまいません。
待ちます。
その誰かが、目を開けるのを。
ハツ、微笑む。
高まる音楽。
溶暗。
――完――