第二幕第三場

文字数 357文字

(客席に向かって)大丈夫だなんて。
結局私たちみんな、だまされてたんですよね。タカ君に。


ユウキ先生。先生だってご存じなかったんでしょう? ノートが、二冊あったってこと。
タカ君が私たちに見せてたのは、きれいなほうだった。

(もう一冊のノートをとり出す)こっちは、隠してた。リキ君にさえ。

私ね、図書館でいっしょけんめい調べたんです。そしたら、純粋な二重人格って、じつは少ないんですってね。交代人格はたいてい一人じゃなくて、二人以上いるんですってね。そうなんでしょう?
どうしてそれを先に、言ってくださらなかったんですか?

(ノートを指し)これですか。リキ君が持ってきたんです。

おハツさん、これ、誰……? って。

あの子も知らなかったらしいんです、このノートを書かされるまで。


見てください。傷だらけなんです……

リキ、浮かび上がる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

リキ(力) 若い男。

タカ(高) 若い男。リキの「同居人」。

ゲン(源) 若くない男。タカの「客」。

ハツ(初) 若くない女。ゲンの妻。

ナツ(夏) 少女。

リキ&タカ(二人同時に)

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色