第一幕第八場(2)

文字数 386文字

タカ、リキの背後に回る。ハツにはタカが見えず、聞こえない。
どうしたの?
何でもありません。
何でもなくないだろう。
(押し殺した声でタカに)お前な。
何。
リキ君。
はい。
(あざ笑う)「ハイ」とかって似合わねー。
あのね……、訊[き]いていい?
なん、でしょうか。
さあ何かなー。
やっぱり、いい。今度で。
今度?
あー、かえって気になる、気になる。
(思わず)うるさい。
えっ?
あっ、違うんです。
(笑う)
いいかげんにしろよ。
どういうこと……?
すみません、違うんです。
何が違うのよ。
何が違うの?
見せてやれば? お前の正体。
ふざけるな!
リキ君?
あ、はい。
誰と……話してるの?
言ってやれよ、俺とだって。
黙れ。
黙れって……そんな……
違うんです。違うんです……!
バカ。交代しろよ。
タカ、リキの頭を背後からわしづかみにする。
リキ、体をのけぞらせ、昏倒する。
タカ、リキの前に出る。多重人格の「交代」(スイッチ)。
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登場人物紹介

リキ(力) 若い男。

タカ(高) 若い男。リキの「同居人」。

ゲン(源) 若くない男。タカの「客」。

ハツ(初) 若くない女。ゲンの妻。

ナツ(夏) 少女。

リキ&タカ(二人同時に)

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