第一幕第三場(2)

文字数 637文字

今夜のリクエストはちょっとハードよ~。(メイド服をとり出し)おかえりなさいませ、ご主人サマ。

ウソだろ……!
(メイド服を身につけ始める)いいじゃない、着るのお前じゃなくて俺なんだから。(当然サイズが合わない。ファスナーを上げようとしながら)この、ファスナーが、完全に閉まらないところがね、またエロくていいらしいよ。
(顔を覆って首を振る)
大丈夫だって、おしおきも今回はあんまり痕が残らないバージョンにしてもらうから。(甘い声で)少しは認めてよ。ね。俺の、この、文字どおり血のにじむような努力。認めてくれたら俺だってこんなイジワル、しないのに。(笑う)するかもしれないけど。ま、これでもイソーローの身としてはカラダ張ってご主人サマを守ってるつもりなわけよ。愛だよ、愛。
頼んでない。
そう?
お前が、勝手に……!
あ、そこまで言うかなあ?(ささやく)だって実際、カラダ売ってるのは、お前じゃなくて、俺だよ。だろ?
(つぶやく)俺じゃなくて……お前……
そう。だから、(高笑いする)俺の金は俺が使う!
(低く)出て行け。
は?
出て行け。出て行ってくれ。
ああ、いつでも出て行ってやるよ。で、どうやって追い出すつもり? 追い出せるの? 俺なしで生きていけるの? 答えろよ。さあ。さあさあさあさあさあ!
(叫ぶ)出て行け!
タカ、消える。リキ、はっとして辺りを見まわす。
すみません……何でもないんです……本当に何でもないんです……ただちょっと……疲れてる……だけなんです……
リキ、消える。
ゲン、浮かび上がる。
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登場人物紹介

リキ(力) 若い男。

タカ(高) 若い男。リキの「同居人」。

ゲン(源) 若くない男。タカの「客」。

ハツ(初) 若くない女。ゲンの妻。

ナツ(夏) 少女。

リキ&タカ(二人同時に)

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