第一幕第八場(7)

文字数 411文字

あのとき、あいつを、起こさなければ。でも、起こしちまった。
リキ。あの人じゃないのか。噴水の。
リキ、顔を上げて、ゲンを見、タカを突き飛ばして前に立つ。
痛ってえ……ってお前、どうする気だよ?!
リキ、棒立ちのままゲンを見つめている。
バカ、代われ。早く俺と代われ。
(首を振る)
自分で行く気か?
(うなずく)
でも、でも、人違いだったら? なんか服変わってるし。
(首を振る)
あの人かな。
(うなずく)
どうする。
(首を振る)
それじゃわかんねーよ!
(うなずく)
俺も動転してた。リキに対して俺のコントロールが効かないなんて初めてだった。(リキに)知らないからな。
(うなずく)
わかった、お前がそこまで言うなら、って何も言ってないけど、とにかく、俺がついてるから、安心しろ。どうしようもなくなったら俺を呼べ。いいな。
(うなずく)
スマイルだ。(リキの顔を両手で引っぱる)スマ~イル。(リキを半回転させ、背中をどやしつける)行け!
リキ、ゲンの前に立つ。
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登場人物紹介

リキ(力) 若い男。

タカ(高) 若い男。リキの「同居人」。

ゲン(源) 若くない男。タカの「客」。

ハツ(初) 若くない女。ゲンの妻。

ナツ(夏) 少女。

リキ&タカ(二人同時に)

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