第二幕第二場(3)
文字数 1,064文字
間。
でもね。なんか不安なのよ。俺だけが影が薄くなっていってる感じなの。
あいつ、ほっとくとメシもろくに食わないし、ちゃんと寝ないし、赤信号でもふらふら渡るし。生きる気力っていうのが俺の担当だったのね。
(短い沈黙の後)ハッちゃんがいてくれたら、大丈夫かもしれないって気もするんだけど。
私もね、自分でも何言ってるかわからないの。このところずっと変なことがありすぎて、もう、何が変で、何が普通か、ぜんぜんわからないの。でもね、言わせて。私たちみんな、沈んじゃだめ。イスだか机だか知らないけど、そんなのに負けちゃだめ。
みんなじゃないの。王さまは、生き残るの。
王さまははじめ、娘を抱いて馬に乗って逃げるの。波がどんどんせまってきて二人とも溺れそうになるの。そのとき、お姫さまだけが、水に落ちるのよ。自分から落ちたのか、王さまがつき落としたのか、わからないけど……
あれ? なんでこんな話になった?
タカ、消える。ハツ、一人。